「これからじゃなくて今まで何をしたかが問題。あなた一人の言動で協会の1万人の家族の生活を脅かしかねないことをした」――。日本相撲協会の新体制で広報部長に就任した芝田山親方(元横綱・大乃国)が、2018年3月28日の臨時年寄総会で貴乃花親方に述べたと報じられている言葉だ。
この発言をめぐり、落語家の立川志らくさん(54)はツイッターで「論点ずらしのイジメ体質」と批判した。
「横綱の暴力事件と隠蔽が原因だろうに」
貴乃花親方は3月28日の臨時年寄総会後の会見で、弟子の十両貴ノ岩への傷害事件で協会の対応を問題視し内閣府に提出した告発状を、正式に取り下げたと明かした。「自身が間違っていたのか?」と聞かれると、「微力ながら協会の一員として、やっていかなければならない」と回答するなど、反省の弁と協会への謝罪を繰り返した。
スポーツ紙各紙の報道などによると、新広報部長の芝田山親方はこの対応に「間違っていました、とは言っていない。ちぐはぐな答えをしている」と述べた。さらに相撲リポーターの横野レイコ氏によれば、総会では芝田山、貴乃花の両親方をめぐり、こんな一幕があったという。
「貴乃花親方が『これから頑張ります』と繰り返していたところに、芝田山親方が『これからじゃなくて今まで何をしたかが問題。あなた一人の言動で協会の1万人の家族の生活を脅かしかねないことをした』と、こんこんとさとすように仰ったそうです」(3月29日放送の「とくダネ」(フジテレビ系)で)
こうした情報を受け、「論点ずらしのイジメ体質。軽蔑します。何を言ってもむだです」と批判したのが、落語家の立川志らくさんだ。
ツイッターで3月29日、「芝田山親方の言葉『貴乃花一人の言動により協会1万人の家族の生活を脅かしかねない』」と切り出し、
「おい!そもそも横綱の暴力事件と隠蔽が原因だろうに。そんな事は一もなかったのに貴乃花がそうに違いないと騒いだならわかるが暴力追放を貴乃花は叫んだんだよ。そのやり方がまずく弟子が暴力騒動を起こしたんだ」
と持論を展開した。
志らくさんはさらに「アンチ貴乃花派は存在する。しかしアンチ相撲協会派はあんまりいないのでは。八角体制になってからのファンサービスとか素晴らしいものはある。アンチではなく隠蔽などに対し非難をしているだけ」と相撲協会への「非難」を分析。続けて
「なのに大切な相撲を愚弄されたと発狂する。貴乃花の個人の宗教まで攻撃材料にして、下品極りない」
と説明した。
「隠ぺい体質は消えたわけではない」
また、志らくさんは3月29日の情報番組「ひるおび!」(TBS系)で「相撲道を真っ当にしようと戦っていた親方が巨大組織に飲み込まれて結局、こういうことになった。組織人としてはやり方が間違っていたから、処分を受けることは仕方ない」とコメント。続けて
「貴乃花親方は相撲道を真っ当にしようと思う信念は変わっていない。間違っていると思う相手に頭を下げなくてはいけないのは屈辱だが、ものすごく勇気のいること。評価すべきことだと思う」
と持論を展開していた。
ただ、志らくさんはその上で「元々は相撲協会で暴力事件が起きて隠ぺいした事実があって、それがどこかに飛んでいる。隠ぺい体質とかは消えたわけではない」とし、相撲協会に「隠ぺい体質」が残ったままだと説明。
貴乃花親方は今回の謝罪で「自分ももう1回、心を引き締めてやらないと改革どころではない、と気づいた」との見方を示し、
「他の親方たちが調子に乗って鬼の首とったように『この野郎』と言っていると、また暴力事件が起きた時にどうするんだ、という気がする」
と疑問を呈していた。