「なんで今?」――そんな感想が次々上がっているのが、2018年3月29日発表された「今日から俺は!!」ドラマ化のニュースだ。
原作は1988年~97年にかけ、「週刊少年サンデー」などで連載された西森博之さんの不良コメディー漫画で、主演に人気俳優の賀来賢人さん、「銀魂」などで知られる福田雄一さんが監督を務め、日本テレビ系で10月から放送予定だという。
「ママレード・ボーイ」「ブギーポップ」「オーフェン」...
「今日俺」はヤンキーたちのバトルや日常をギャグを交えて描き、累計発行部数は4000万部を超える、90年代のサンデーを支えた人気作の一つである。西森さんの代表作として漫画ファンの評価は高く、今回の実写化にも期待の声が多い。一方で、
「全巻持ってたわ。なんで今更なんだろう」
「今って90年代だったっけ????」
「なんで2018年に今日から俺は!!がドラマ化するんや...」
など、戸惑うファンも少なくない。
実は最近、1990年代の人気漫画・小説などの実写化、あるいはアニメ化の話題が相次いでいる。今後公開が予定される主な作品を挙げるだけで、
・ママレード・ボーイ(漫画、92~95年)→実写映画化、4月公開
・ブギーポップは笑わない(ライトノベル、98年~)→2018年内にアニメ化
・魔術士オーフェン(ライトノベル、94~03年)→アニメ化(時期未発表)
・からくりサーカス(漫画、97~06年)→アニメ化
といった具合だ。当時のファンには「懐かしい!」ラインアップだが、直撃世代以外にはピンと来ない人も少なくあるまい。
「るろ剣」ヒットあたりから90年代ブーム
往年の人気漫画・アニメの映像化自体は、今に始まった話ではない。特に2000年代半ば~10年代初頭には、「忍者ハットリくん」(04年)、「ゲゲゲの鬼太郎」(07年)、「ヤッターマン」(09年)、「怪物くん」(10年)、「宇宙戦艦ヤマト」(10年)、「あしたのジョー」(11年)など、60~70年代の国民的ヒット作を原作とする映画、ドラマの製作が相次いだ。とはいえ必ずしもすべてが成功を収めたとは言い難く、「こちら葛飾区亀有公園前派出所」(09年)など、「ネタ」扱いされてしまう珍作もあった。
しかし2012年・14年公開の映画版「るろうに剣心」(原作は94~99年)がヒットしたあたりからは、90年代の人気作が一躍注目されるようになった。「ドラゴンボール」「セーラームーン」などの超大型タイトルや、「ジョジョの奇妙な冒険」「カードキャプターさくら」「魔法陣グルグル」「封神演義」「電影少女」といった作品が、次々とリメイク・続編として映像化されているのだ。
当時のファンも現在では20代後半から30代後半、お金も自由になるし、「懐かし」需要で手堅いヒットが狙える、という計算も透けて見えるが、ツイッターなどでは、
「90年代にすがる様でなんか悲しい まぁ観れる嬉しさもあるんだけど悲しい感じの方が強い」
「日本の映画市場がネタ切れ&冒険できない関係で元から人気ある漫画原作を乱発し、アニメ業界もアニメ業界でファンが既にいるのが確定してる&ファンが金持ってるおっさんの多い平成初期漫画をアニメ化連発。かなりやばいのでは」
「たしかに、今の10代20代より、30代40代の方が、マスの影響強かった分、狙いやすいのははっきりわかるけど。SNSの反応で、行けるって予算ついたのもわかるけど。再生産なぁ...」
「今日から俺はとかママレード・ボーイとか実写化って20代がお金ないから30代~40代あたりのお金持ってる層の財布を狙い撃ちしてるんだよね」
など、首をかしげる向きも少なくない。