「衆参合わせてたった4時間の証人喚問、無理があると思います」。佐川宣寿・前国税庁長官への最後の質問者として立った丸山穂高・衆院議員(日本維新の会)が主張した。
丸山氏は、国会で審議すべき事項は山積していることを懸念。学校法人・森友学園の財務省決裁文書改ざん問題に関して、「第三者の検証委員会」を設けるべきと訴えた。
「私で最後の時間です」
佐川氏は2018年3月27日、森友学園への国有地売却当時の理財局長として、衆参2時間ずつ、計17人の議員から質問を受けた。最後に5分だけ時間を与えられた丸山氏は、数点の質問のあとでこう問いかけた。
「私で最後の時間です。時間もありませんのでまとめの質疑に入らざるを得ませんが、これまでの発言で訂正したいこと、言い残したことがあれば重ねてお聞きしたい。本日の一連の発言で、国民が知りたい真相を解明できたとご自身はお考えになっているかどうか、率直にお答えいただけますか」
佐川氏は淡々と答えた。
「先ほどから委員の方々にお叱りを受けており、実際にどういう経緯で誰が(書き換えを)やったのかはお答えできておりませんので、お叱りを受けているということで、ご満足できていないだろうと思っております」
丸山氏が「解明できていないと思われているということですね」と確認を求めると、佐川氏は「先ほどから各委員にお叱りを受けている『どういう経緯で誰が具体的に指示をしたか』という点はお答え申し上げておりませんので、その点は明らかになっていないということですが、それは裁判、司法の方ということになると思います」と答えた。
この日、「文書改ざんがいつ誰の指示でなされたか」という問題の核心は、さまざまな議員から言葉をかえて何度も質問された。そのいずれも佐川氏は、「私は捜査の対象であり、刑事訴追を受ける可能性がございますので、答弁を差し控えさせていただきたい」という旨の言葉を数十回繰り返し、答えを避けてきた。
持ち時間が残り1分半を切り、丸山氏は続けて主張を始めた。
第三者の検証委員会での調査を主張
「そもそも衆参合わせてたった4時間の証人喚問、無理があると思います。私もたった5分しかありません。本来この予算委員会、北朝鮮情勢が動いている、北のトップが中国に行っているかもしれないという情勢の中で、米中貿易摩擦もあります、外交問題もやらなきゃいけない。重要法案も、何より予算も審議していかなければならない中で、こうした短時間の予算委員会、絶対無理だと思います」
さらにこう提案もしている。
「別の場に、わが党いつも主張しています、特別委員会なり第三者の検証委員会を設けて、佐川さんに来ていただいて、国民の皆さんは明らかにしてほしいと思っていらっしゃる案件ですから、委員としても国会としてもやっていかなければいけないと思います」
そのうえで「ご本人として、最後、率直に国民の皆さんにお話ししたいことをお話しください」と促し、佐川氏は「行政の信頼を揺るがすようなことになりまして、本当に国民の皆様に大変申し訳ないと思います。お詫び申し上げます」と頭を下げた。佐川氏の証人喚問は終わった。
質問者たちの中でも異彩を見せた丸山氏には、ツイッターで、
「丸山先生の質問時間は5分だったが、この発言が今回の証人喚問で一番重要な内容だった。予算と外交は大事」
「ようやく前向きな提案が出た」
「全くもって正論」
「当然のことなのですが、誰も言い出す人がいない中、よく言ってくれました」
といった声があがった。だが一方で、
「佐川氏の証人喚問。締めの悪さが際立っている。維新の丸山だっけ?やめてくんない、ガッカリ感満載」
「丸山さんも期待外れだった」
「予算委員会でやることに意味がある」
と不満の声も漏れている。