中国国務院の大改革 憲法改正の背後に潜む意味  

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中国共産党によるイデオロギー統制

   さらに、今回の大改革を理解するためには、今回の全人代で副首相に選出された劉鶴氏が、選出される前の3月13日付の『人民日報』に発表した文章を熟読すべきである。一字一句が意味深長だ。劉鶴氏は習近平の友人で、中国共産党の「権威筋」として知られる。

   劉鶴氏が、国務院の機構改革に言及した部分では、「国家新聞出版広電総局を土台として広播電視総局を立ち上げるに際し、『新聞』と『出版」』の二語を削除している」と指摘。多くの国民はこのことが何を意味するのかよく判らないだろう。二大宣伝領域の中で、権力機関の存在感が弱体化したのだろうか、と疑問を持つものもいる。

   その実、劉鶴はその文章で、「今回の重要な改革の中で、党の全面的な指導の強化は核心問題となっている」と書いている。これまで国務院の中には「新聞出版署」という独立した局があったが、今回の機構改革で新聞(中国ではマスコミという意味)と出版は、共産党の中央宣伝部に移転され、党のイデオロギー部門の一部となった。

   劉鶴氏がその文章で明らかにしたところによれば、従来の機構改革は主に政府機構と行政体制面に限定されていたが、今回はきわめて全面的で、党、政府、人民代表大会、政治協商会議、司法、民間団体、社会組織、事業単位、軍隊、中央と地方政府の各級機構へと範囲が及びそうだ。

   今回の国務院機構改革は前哨戦で、その後に党の機構改革がつづくことに疑う余地はない。そして党の機構改革は困難で大規模であり、それは中国の将来の方向性に直結することになるだろう。

(在北京ジャーナリスト 陳言)

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