「逃亡生活」の始まりも回想
17年12月の無罪確定後も犯人視を続けるメディアや世間の反応に絶望したという筆者は、ブログでは繰り返し、自らの「無実」を主張している。特に地下鉄サリン事件については(逮捕されるも処分保留)、週刊新潮に反論する形を取り、2000文字以上の長文で関係を否定する。ほかにも、いくつかの具体的な記事を挙げて、事実ではないと反論している。
また、菊地さんが都庁爆弾事件に関わったと証言した井上嘉浩死刑囚(再審請求中)に対しては、「井上嘉浩さんの嘘」というタイトルで、4回にわたって触れている。一方で、
「このブログで彼の嘘を書いていいものかもかなり悩んだ。かつての仲間を陥れるようなことをしなければならないくらい、彼も追い詰められて苦しんでいるのだろうか......と思うからだ」
と思いやる記述も見られる。
このほか、18歳当時の「入信」前後の思い出や、「指示のとき、詳細な『説明』が一切ない」という教団の習慣など、オウム時代の思い出もいくつか記される。3月19日の最新記事では、「逃亡生活」に入る前後の林泰男・死刑囚らとのやり取りを回想、当時の心境を以下のように振り返っている。
「実行犯と言われている人達も、ごくごく普通の人達なのだ。むしろ、いい人すぎるぐらいいい人だった。それは林さんも同様だった。林さんが、報道されていたように、本当にマインドコントロールされたロボットだったとしたら、どんなに良かっただろう。事件のイメージと同じように、残酷で凶悪な人物だったら、どんなに良かっただろう。そうであったならば、私は出頭できていたに違いない」