若者を中心とした地域活性を目的に、高知県の嶺北地域を中心に活動するNPO法人「ONEれいほく」が2018年3月22日、滞在希望者の受け入れなど全ての活動を中断することを公式サイト上で発表した。
活動中止の理由は、知人女性が性被害に遭ったことを告発した人によるウェブ記事が公開されたこと。ONEれいほくは、記事の筆者にはすでに「謝罪」したと明かした上で、今回の告発について「最優先で対応にあたります」としている。
著名ブロガーらが「サポーター」を務めていた
ONEれいほくは、高知県本山町に拠点を持つNPO法人。中心スタッフの2人が住む家を滞在希望者に開放し、若者同士の交流や地域活性を目的としたイベント開催などを行っていた。
SNSやブログを積極的に活用し情報発信を行っていたことや、著名ブロガーのイケダハヤト氏やはあちゅう氏も団体の「サポーター」に名を連ねていたことから、その活動には以前からインターネット上で注目が集まっていた。
そんな話題のNPOが、突如すべての活動を一時的に停止した。
ONEれいほくが公式サイト上に掲載した発表文によれば、ある女性ライターが3月18日に公開した「事実にはオチも救いもないけれど、これが地方移住で受けた性被害と現実です」と題したウェブ記事が、活動中断の理由だという。
このウェブ記事は、宿泊した「地方」の家で、知人女性が家主の男性から性被害を受けたことを告発する内容だ。宿泊した場所や関係者の名前、トラブルのあった時期など、詳しい情報は明かされていない。また文中には、「ONEれいほく」の名前も一切出てこない。
ただ、記事の筆者は過去のブログで、高知に移住したことやONEれいほくの活動に協力したことなどを報告していた。そのためネット上では、今回の性被害トラブルと同団体の関連を疑う声も広がっていた。
ブログの筆者には「謝罪しました」
こうしたウェブ記事についてONEれいほくは、22日に公式サイトで発表した文書の中で言及。「まだ、ご覧になっていない方は良ければ記事をお読みください」として、
「本件に関して、発信をしてくれた筆者、被害に遭われた女性、我々の活動地域、支援者様含む関係者への影響を鑑み 現在おこなっているヒッチハイクファンディングや拠点での滞在者の受け入れ、その他開催予定だったイベントを中断し、最優先で対応にあたります」
と報告したのだ。
その上でONEれいほくは、記事の筆者とは連絡を取っていると説明。同団体による「不適切な情報発信や対応で精神的なストレスを与えてしまったことを謝罪しました」とも伝えた。さらに続けて、
「筆者と被害に遭われた女性の立場や心情を最優先にした対応を行って参ります」
とも説明。また、発表の中では「情報公開の仕方によっては再び女性を傷つける可能性があったため ご報告が遅くなったことに関しましても重ねてお詫びいたします」とも謝罪している。
いったい、告発された性被害とONEれいほくの活動には、どのような関係があるのか。J-CASTニュースは3月23日、同NPOの代表をつとめる男性に取材を依頼したが、現時点で取材に応じるのは難しいとの返答があった。
その理由について代表の男性は、(1)現段階では事実確認が取れていない部分がある(2)筆者また被害者女性を再度傷つけてしまう可能性がある――の2点を挙げていた。今後も、確実に取材に答えられる状況になるかどうかは分からないという。
なお、ONEれいほくの公式サイトは23日夜時点で、NPOの活動を支持していた「サポーター」の名前や顔写真を紹介したページが閲覧できない状態になっている。