森友学園をめぐる問題で安倍昭恵夫人の言動が「政権の足を引っ張りつつある」として「行動を自粛なさってはいかがだろうか」と苦言を呈していた産経新聞が、今度は「魔女狩り」を主張している。
国有地売買に安倍晋三首相夫妻の関与や官僚による忖度はないとの見方を示しながら、メディアの報道ぶりを昭恵夫人への「個人攻撃」だと非難している。
「『いけにえ』に選んだ相手を、手段を選ばず火あぶりに」
コラムは阿比留瑠比・論説委員兼政治部編集委員による「阿比留瑠比の極言御免」。2018年3月22日の紙面に掲載されたコラムでは、「野党・メディアの魔女裁判いつまで」と題して、メディアや野党のふるまいを
「事実や実態などどうでもよく、ただ自分たちが『敵』または『いけにえ』に選んだ相手を、手段を選ばず火あぶりにしようとしているだけではないか」
などと非難している。
加計学園をめぐる問題では、学園側に批判が集中する一方で、日本獣医師会や文科省は「何ら問題にされなかった」と指摘。森友学園をめぐる問題についても、理事長だった籠池泰典被告(65)=詐欺罪などで起訴=の言葉が「確認なしに事実として垂れ流された」のに加えて、昭恵夫人については
「本当に言ったかどうか怪しいどころか極めて不自然なセリフ、違うと分かっている発言も、事実である前提で取り沙汰された」
とした。財務省の官僚が安倍首相夫妻に忖度したとの見方については、安倍首相自身が「近しい大物官僚OB」に、面と向かって
「申し訳ありませんが、官僚にとっては首相も大臣もどうでもいいんですよ」
と言われたというエピソードを紹介しながら、官僚によっては政治家よりも
「出世に直接かかわってくる役所内の上司の方がよほど重要な存在」
だとして、忖度は起こらないとの見方を示した。各紙の昭恵夫人に関与を示唆するかのような見出しには
「読者に昭恵夫人には何かあると思い込ませたいのか。個人攻撃だとの印象を受ける」
と批判した。