患者数が増えている「4つ」の理由
厚労省の患者調査2014年度版によると、高血圧性疾患の患者数は05年比で129%、糖尿病は同128%、高脂血症(脂質異常症)は同135%だった。メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)が提唱されてから、約15年。高血圧と高血糖、高血中脂質が生活習慣病を引き起こす可能性があることは、よく知られているはずだが、なぜ患者数は増えているのか。
それには4つの理由があると、岡部氏は考えている。まず1つは「メタボに対する理解の低さ」だ。
同会の調査では、メタボの診断基準が体重や腹囲、またはその両方など、「太っている」ことにあると考えている人は、全体の約5割にのぼった。だがメタボとは本来、「内臓脂肪が多くて、高血圧と高血糖、高血中脂肪のうち2つを満たした人のこと」を指す。
メタボをどう認識しているか
2つめは、「メタボ診断基準の落とし穴」。メタボ検診ではまず、腹囲を計測することになっている。基準を超えていれば、血圧と血糖、脂質異常のどこに問題があるか調べるわけだ。だが岡部氏によると、「ウエストが細くても、高血圧や高血糖になる人はいる」。やせているからといって安心できるものではないという。
3つめは、「血圧・血糖・血中脂質に対する意識と実態の乖離」。同会の調査では、「血圧と血糖、血中脂質が気になるか?」と確認したが、過半数の53.0%は「1つ以上気になる」と答えていた。一方、そのうち1つ以上ケアしている人は32.1%、3つともケアしている人は10.8%のみ。ケアの重要性は認識しているものの、実行するのは難しいようだ。
3つともケアしている人は10.8%
そして、最後の1つは「健康診断では分からない疾患リスク」。人間ドックや健康診断を受ける際、食事を節制する傾向が高い。それはあくまでベストな状態で測定した結果に過ぎず、隠れているリスクまで把握するのは難しいという。