生保各社が「利益還元」競争? 「人生100年時代」へ「恩恵」分配

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   生命保険各社が、日本人の長寿化が進んでいることで得られる利益を、相次いで保険契約者に還元する。金融庁が生保各社に利益還元を促していることにも対応する。既存の死亡保険などの契約者には配当を増やし、新規の契約者には保険料を値下げする。「人生100年時代」を迎え、平均寿命を待たずに死ぬリスクより、長生きするリスクの方が高まっていることを裏付ける現象とも言える。

   生保各社は、業界団体「日本アクチュアリー会」が年齢・性別ごとに余命や死亡率を定める「標準生命表」をもとに、契約者が支払う保険料などを算出している。この標準生命表が2018年4月に、11年ぶりに改定されるのだ。足元で進んでいる長寿化を背景に余命は伸び、死亡率は下がっている。

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標準生命表の改定

   例えば、40歳男性を見ると、2007年版では死亡率が1000人に対し1.48人だったものが18年版で1.18人に縮小する。40歳男性の平均余命は07年版が39.67歳だが、18年で41.87歳に伸びる。ちなみに40歳女性の場合、死亡率が1000人に対し0.98人から0.88人に下がり、平均余命は45.87歳から47.33歳にまで伸びる。

   生命保険会社の本業の利益「基礎利益」を構成するのは大きく3種類。顧客から預かった保険料を運用した結果、想定した運用益と実際の運用益の差額が「利差益」、事務負担などの費用の想定額と実際額の差が「費差益」、さらに、想定した保険金の支払額と実際との差が「死差益」だ。このうち最も大きいのが「死差益」で、2017年3月期には大手生保の基礎利益の7割程度を占めたとされる。死差益は生命保険会社の利益の源泉で、経営の屋台骨を支えるものではある。

   しかし、死亡率の想定の数値と実際の数値とが乖離し過ぎると、「長寿化の恩恵」の分配について不公平感が生じかねない。そのため監督官庁の金融庁は契約者への還元を強く促しており、2017年10月の金融レポートでは「有配当契約における契約者間での公平な配当」などを求めた。標準生命表の改定はこうしたことも踏まえ、現実との乖離を是正するものだ。

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