莫大な投資を回収できるか 正念場の「水素ステーション」

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   トヨタ自動車やJXTGエネルギーなど11社が水素ステーションを整備するための新会社を設立した。2018年3月5日、発表した。燃料電池車(FCV)に水素を供給するインフラを「オールジャパン体制」で整えるのが狙いだ。FCVと電気自動車(EV)との次世代自動車覇権争いは、EVが世界的に優勢となっている。FCVや水素ステーションにかけた莫大な投資を果たして回収できるのか、正念場を迎えている。

   新会社は日本水素ステーションネットワーク合同会社。英語名Japan H2 Mobility、略称はJHyM(ジェイハイム)。トヨタに加え、日産自動車、ホンダの国内完成車メーカー3社、JXTGエネルギー、出光興産、岩谷産業、東京ガス、東邦ガス、日本エア・リキードのエネルギー関連6社、豊田通商、日本政策投資銀行の金融関連など2社の計11社で構成される。東京都千代田区のトヨタのビルに入居し、トヨタ出身の菅原英喜氏が社長を務める。資本金5000万円で2018年2月20日に設立された。

  • FCVは普及するのか(日本水素ステーションネットワーク合同会社のホームページより)
    FCVは普及するのか(日本水素ステーションネットワーク合同会社のホームページより)
  • FCVは普及するのか(日本水素ステーションネットワーク合同会社のホームページより)

今後4年間で80か所を整備

   現在、水素ステーションは国内に約100か所設置され(計画中も含む)、FCVは約2000台が走っている。これを2020年に160か所4万台、25年に320か所20万台、30年に900か所80万台に――というのが国の目標だ。

   水素ステーションの建設には1か所4億~5億円かかる。新会社は国の補助を半分程度受け、今後4年間で80か所を整備する。現在は東京、大阪、名古屋、福岡の大都市圏が中心で、北東北や北陸、山陰、南九州などは1か所もないが、「点」を「面」に広げていく。単独での投資が難しくても、11社が組んで国もバックアップすれば、2020年の目標達成も不可能ではない。

   むしろ、課題はFCVだろう。2014年末にトヨタが「ミライ」を、16年にホンダが「クラリティ フューエル セル」を発売したが、実際に走っている車を町中でみかけることは、まずないだろう。

   ライバルであるEVの国内保有台数は10万台に迫る。充電器は旅館やコンビニエンスストア、自動車ディーラーなどを含め2万基を上回り、ガソリンスタンドの3万店を超えるのも時間の問題だ。自宅に充電器を設置できる手軽さもある。

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