大手SNSの米フェイスブックから、5000万人に及ぶユーザー情報が外部に流出した可能性があるという報道を受け、同社の株価は2018年3月19日、週末の終値から一時は7%近く下落した。
個人情報を不正に入手したとされているのは、2016年の米大統領選でトランプ陣営に協力した広告会社「ケンブリッジ・アナリティカ」で、米紙ニューヨーク・タイムズを始め、海外メディアが次々とその内容を報じている。
トランプ陣営に協力した広告会社が不正に入手と報道
トランプ陣営に協力した「ケンブリッジ・アナリティカ」(CA)の元従業員からの告発を受け、米ニューヨーク・タイムズは17日の記事で「ソーシャル・ネットワーク史上最大の情報流出」と報じ、英オブザーバーやガーディアンなども続いた。CAは広告やコンサルティングを行う英国の会社で、英国のEU離脱(ブッレグジット)のキャンペーンにも関わっていた。
それらの報道によると、許可なく収集された「いいね」の内容や行動、友人関係などの個人情報5000万人分をもとに、CAがそれぞれのユーザー向けに最適化された政治的な広告を表示し、16年の大統領選における投票行動に影響を与えたという。
こうした報道を受け、19日のフェイスブックの株価は一時7%近くも下落したほか、他のIT関連株にも波及。グーグルを傘下に置くアルファベットの株価も2%以上下がった。
FB、「流出」に反論 CAも正当性主張
しかし、フェイスブック側は、システムへの侵入やパスワード盗難と言った被害もなかったと主張し、「流出」という報道に対し、強く反論している。
フェイスブックの声明によると、CAが得たデータは大学教授がアプリを通して収集した研究目的のものであり、そのアプリを使用する際の許可はユーザー自身が出していたという。そのデータが研究者以外の第3機関に渡ったことは規約違反ではあるが、フェイスブック側は15年時点で状況を把握してデータの破棄を要求していたという。
しかし、声明の「数日前」、フェイスブックはCA側が要求に反してデータを破棄していないという報告を受け、同社のアカウントを停止したとも発表した。
また、CA側も17日に公式サイトに掲載したリリースで報道を強く否定。同社はフェイスブックの規約を順守しており、別の会社からもたらされた規約違反のデータは破棄し、トランプ陣営のキャンペーンの際に使用しなかったと主張し、合法性を訴えている。