JR西日本の鳥取駅(鳥取市)が、地元の卒業生に送った「はなむけの言葉」が、インターネット上で注目を集めている。
「ICカードも使えず決して便利な駅ではなかったかもしれません。それでも...」。駅員がそんな想いをメッセージにして掲示したところ、「良い意味で鳥取らしさを感じる」と反響を呼んだのだ。
「みなさまの未来へ出発、進行!!」
鳥取県在住のあるネットユーザーは2018年3月18日、「鳥取駅から鳥取大学卒業生へのメッセージがすごくてすごい あたたかい...」とツイッターに投稿、鳥取駅の改札前で撮影したメッセージボードの写真を掲載した。「卒業生のみなさまへ」と題するボードで、こう書かれている。
「大雨、強風、大雪、不発弾、動物との接触...様々な原因で列車の運行が乱れ、通学でご利用のみなさまには大変ご迷惑をお掛けしました。
ICカードも使えず決して便利な駅ではなかったかもしれません。それでも、毎朝元気な表情で登校されるみなさまの姿は私どもの心の糧になっていました。いつもありがとうございました。学生生活を終えられ、県外へ進学・就職なさる方も多いと思います。みなさまが鳥取を離れても、私たちはいつでもみなさまのお帰りをお待ちしています。みなさまの未来へ出発、進行!!
ご卒業誠におめでとうございます!! 鳥取駅一同」
ユーザーのツイートには、「ええところやな...」「卒業おめでとう」「『みなさまの未来へ出発、進行!!』で泣いた」との声が寄せられた。「リツイート」は6000件、「いいね」は9300件を上回る。
中には「ICカードも使えず決して便利な駅ではなかったかもしれません」とやや自虐的な記述もあるが、こうした記述も含めて「鳥取らしい」ようだ。先のユーザーは20日のJ-CASTニュースの取材に、
「県外の方から見れば一歩間違えれば自虐とも取れる内容ですが、地元愛と鳥取らしさ(いい意味で)を感じ取れるメッセージでした」
と答えた。
鳥取駅の駅員によると、3月18日限定でこのメッセージボードを設置した。同駅を最寄りとする場所で同日、鳥取大学の卒業式があったのだ。同大の学生や、他の小中高生に感謝の想いを届けたかったという。
駅員「ローカル色ゆたかなものになった」
メッセージボードの内容について、駅員は20日のJ-CASTニュースの取材に「ローカル色ゆたかなものになったのではないか」と話した。
「大雨、強風、大雪、動物との接触...びっくりする方も多いかもしれませんが、これらを原因とする遅延はいずれも、鳥取では珍しくありません。お客様にご不便をかけたことをお詫びしたいとの想いから、このように書きました」
ちなみに「不発弾」に関しては、駅員もさすがに「これは例外ですが」と笑っていた。2017年12月29日、鳥取駅から南東へ約300メートルにある解体中の空き家から不発弾1発が見つかる事件が発生。JR西日本米子支社は一時、JR山陰線の運転を見合わせていた。