貴乃花部屋の十両・貴公俊による付け人への暴行がクローズアップされる大相撲界だが、峰崎部屋でも同じ日に暴行が明るみに出ている。
兄弟子が弟弟子に暴行をはたらいていたといい、その数は2018年1月までに4度。元日馬富士による暴行事件後に起こしたものもあったことに加え、発覚後も三月場所に出場していた。3月19日放送の「バイキング」(フジテレビ系)では、「正直フェアじゃない」という声も漏れている。
「示談が成立したから相撲を?」「そうです」
日本相撲協会の春日野広報部長は三月場所8日目終了後の2018年3月18日、貴乃花部屋の新十両・貴公俊が同日に支度部屋で付け人を暴行したとして、事実確認のうえ公表。元日馬富士暴行事件の被害者側で、暴力に極めて厳しい姿勢をとる貴乃花親方の弟子が起こした暴力は大きな注目を集めた。貴乃花親方が今場所は欠勤や早退が相次ぎ、事件当時は会場をあとにしていたことも議論に拍車をかけた。
貴乃花親方は19日朝、宿舎前で詰めかけたメディアに対応し「申し訳ないことです」と謝罪。ワイドショーなどでもしきりに映像が流された。貴公俊は19日の9日目からの休場が発表された。
一方、協会は峰崎部屋の暴行事件も18日に公表。複数の報道によれば、17年9月から18年1月にかけて兄弟子が弟弟子を4度にわたって殴るなどし、うち2度は17年11月の元日馬富士暴行事件発覚後のことだった。
峰崎親方(元幕内・三杉磯)が事態を把握したのは1月末。被害者の弟弟子が引退し、その父親が同親方に手紙を送ってきたことで知った。兄弟子に確認して事実とわかり、鏡山危機管理部長に届け出た。ここまで公にされなかったのは当事者間で示談を進めていたためで、このほど示談が成立したため公表した。
ただ兄弟子は、協会や峰崎部屋が事を把握していた三月場所にも8日目まで出場。春日野広報部長は18日のメディア対応で、「兄弟子は示談が成立したから相撲を取っているのか」との質問に「そうです」と答えたという。四股名も公表されていない。
「出せる情報はすべて出してほしい」
19日放送の「バイキング」ではこの2つの暴行事件を取り上げ、「示談が成立したから土俵にあがっている」という事実に、夕刊フジ記者で大相撲取材歴が長い久保武司氏が「正直フェアじゃないですね」と苦言を呈した。「相撲協会を取材していて情報の出し方とか、いろんなものがフェアじゃないことはすごく感じます」「わだかまりが山ほどある。協会の出す情報が遅いのは、日馬富士問題の時もありましたから。取材していて、出せる情報はすべて出してほしいとつくづく感じます」と次々に協会への不満を述べる。
また「(19日朝にメディアに対応した)貴乃花親方の沈痛な表情は、とにかく一にも二にも三にも貴ノ岩関を土俵にあげたいと、そればかりと言ったら変ですけど、思いの半分以上あったことで、いろんなことが貴乃花部屋に悪く波及してしまった部分もあります」と話す。そのうえで「普通、部屋には部屋付き親方がいますが、前回の理事選で貴乃花部屋には部屋付き親方がいなくなり、すべて貴乃花親方が背負うような形になっています」といったことが背景にあることも述べていた。
ツイッター上では2つの暴行問題について
「なんで貴乃花部屋の力士は公開されて 峰崎部屋の力士は公開されないんだろう」
「貴公俊の方はやられた付け人と親方三人で泣いて反省、貴公俊休場。峰崎部屋はやられた弟弟子引退で親の指摘で発覚、兄弟子今場所も出場」
「貴乃花親方が休場させたのは貴乃花親方に一貫性があると感じました。峰崎部屋の暴力の加害者は大阪場所出ちゃってます」
などと比べる声が少なくない。
峰崎部屋の暴行した兄弟子の情報について、協会は「バイキング」の取材に「加害者は成人ですが養成員力士であり、刑事事件には至りませんでしたので匿名と致します」と答えたという。