レスリングのパワハラ問題への反論会見で注目を集めた谷岡郁子・至学館大学長が、大学の卒業式で騒動に言及、メディア批判ともとれる発言も行った。
発言内容はテレビの情報番組でも紹介され、メディア批判などに対し、出演者の中には「ズレてる」「ついていけない」といった反発を口にする人もいた。
「伊調馨さんは選手なんですか?」が物議
谷岡学長は2018年3月15日に「反論会見」を行い、「(告発内容は)訳の分からない風評被害」「伊調馨さんは選手なんですか?」といった発言が物議を醸していた。17日には、愛知県大府市の至学館大であった卒業式の式辞で、パワハラ騒動を持ち出し、15日会見への反発が寄せられていることにも触れた。
発言内容は、日刊スポーツ(17日、ネット版)や19日放送の「羽鳥慎一 モーニングショー」(テレビ朝日系)、「直撃LIVE グッディ!」(フジテレビ系)などが報じた。
谷岡学長は式辞で、15日の反論会見について、学生や学校を守る姿勢を伝えたくて開いたと説明し、その反響については
「たくさんの抗議の電話が入っていて、この年度末の忙しい時に職員たちは大変です」
として、1000本近くの電話が入っていると明かした。SNSやメールでの反応も寄せられており、
「すごい怖い学長だね」
「すごい独裁者ではないの?」
「あなたの言っていることは100%パワハラだ」
といった内容があった。しかし、そうした反応があることも、
「でも分かってて、言いました」
とのことで、大学のレスリング部の学生らに「ひどい言葉」が投げかけられるのならば、学長である自身が矢面に立とう、という思いがあったとも説明した。
「ビジネスと言われると、ついて行けない」
こうした「怖い」「言っている内容がパワハラ」といった反応は、テレビやネットニュースなどのメディアでも取り上げられており、谷岡学長には不満があるようだ。伊調選手らの飛行機による移動の際の「座席のえこひいき」指摘をあらためて否定した上で、
「これこそメディアによるパワーハラスメントだと思います」
と反発、「簡単にテレビ、ネットで流れているからといって、うのみにしない」姿勢を身につけてほしい、と要望した。そうでないと、
「このようなパワーハラスメントのビジネスで苦しむ人が増えることを止めることはできません」
とも指摘した。もっとも、「『だからマスコミは嫌だ』と言わないでください」と、「知る権利」「報道の自由」の大切さも強調していた。
19日の「グッディ」では、こうした発言を字幕と「女性の声での読み上げ」で紹介した(学長の生音声はなし)。MCで俳優・タレントの高橋克実さんは、「(メディア情報を)うのみにしてはいけない、というのは、そうだと思いますけど」とことわりながら、学長自身が調査もなしで告発内容を否定する態度をとっている点を踏まえ、式辞での発言は「ズレてる」と指摘した。
またスタジオでは、谷岡学長が言う「パワーハラスメントのビジネス」が、メディアを指しているのか、告発状を出した人たちのことを指しているのか、と意見が交わされたが、MCの安藤優子さんは、仮にメディアを指すのならば、マスコミは問題提起をして、事実解明に資するよう活動をしているのだから、
「ビジネスと言われると、ついて行けない」
と、あきれた様子だった。
パワハラ問題は、告発状を受理した内閣府が現在、関係者からの聞き取り調査を進めている。