歌手のデーモン閣下さんがNHKのテレビアニメに自分の姿が無断で使用されたとブログで怒りを爆発させた。デーモンさんそっくりのネコが登場し三味線を弾き歌う、というものだ。
しかし、この件で心身の損害を被ったとし、「どう落とし前をつけるか」「とっととやめちまえ」など激しい怒りをぶつける文章にネット上ではドン引きする人もあり、「大人げない」といった批判がデーモンさんに向けられることになった。
どこかの「盗作大国」と同じレベルだ!
デーモンさんは2018年3月18日、ブログで、
「デザイン上『偶然』とか『たまたま』似てしまった」ではなく、名前も含めて明らかに【吾輩の姿の無断使用】である。言い逃れ不可能!(中略)不快である。心身の損害を被っている。どう落とし前をつけるか、所属プロダクションや某公共放送局と殺生...いや折衝だな」
と綴った。そして追及の手は緩めずに、天下の公共放送のスタッフなのに許諾承認の段取りを知らない、言われなければバレないと思ったのか、どこかの「盗作大国」と同レベルだ、とし、
「そんな姿勢で『もの作り』に臨んでいるのであれば、どうせ大成などしない。とっととやめちまえ」
とし、放送局からの「組織としての誠実な対応を求む」と要求した。
問題のアニメはNHKEテレで毎週水曜日に放送している10分アニメ「ねこねこ日本史」。このアニメは歴史上の人物がネコになって登場し、ネコならばこんな行動を取るのではないかという想定の元で歴史を「ゆる~く」学ぶ番組だ。問題となったのは18年2月28日放送分で、「破天荒シンガー、高杉晋作!~破天荒度MAX編~」というタイトルだった。
「社会的倫理をしっかり守る悪魔」?
アニメの内容は高杉晋作が連合艦隊との講和条約の交渉役に選ばれ、将校と対面するシーンがあり、なぜかネコの高杉が派手なメイク姿で舞台上に登場し三味線を演奏し、
「お前らと、講和条約を結んでやろうか!?」
「賠償金、払えねぇ、あきらめてくれ」
などとデスメタル調で歌う。あまりの音痴に将校は悶絶するが、一匹のネコからは「お前はロックだ!」などと称賛される。
確かに姿形や、顔の隈取り、歌い方、歌詞の内容はデーモンさんにそっくりだ(製作委員会側のサイトでは「デーモン風高杉」との表記で紹介されていた。19日現在では削除されている)。なぜこんなキャラにしたのかは番組内で、当時の連合艦隊側の人間が「魔王のようだ」と高杉の感想を述べていた、と紹介しているため、「魔王」になぞらえたキャラを考えたと思われる。
このアニメには原作があり、そにしけんじさんの同名の漫画だ。出版元の実業之日本社にJ-CASTニュースが19日に話を聞いたところ、
「原作には出てこないキャラクターです」
ということだった。NHKはデーモンさんのこの怒りをどう受け止めているのだろうか。19日に取材したところ、
「アニメの製作委員会に事実関係を確認している段階であり対応についてはまだ決まっておりません」
ということだった。アニメを制作したジョーカーフィルムズに話を聞こうとしたのだが、
「担当者は不在でお話ができる者がおりません」
ということだった。
ネット上では、
「NHKの民度も地に落ちた」
「社会的倫理をしっかり守る悪魔さすがです」
といった意見もあるのだが、なぜかデーモンさんに対する批判の方が多い。掲示板には、
「ジャンルとして確立されたと喜ぶべきだろうに」
「肖像権侵害という悪魔のような所業をする者を非難する悪魔」
「昭和のアーティストがこういう誰が見てもわかる有名人として、自分のモチーフを使うことについてがたがた言うのはガッカリ」
などといった意見が書き込まれている。