サッカー日本代表に半年ぶりに招集されたFW本田圭佑選手について、セルジオ越後氏は「先発で使わなかったら呼ぶ意味がない」とヴァイッド・ハリルホジッチ監督に注文した。
セルジオ氏は、本田選手が所属のパチューカ(メキシコ)で活躍していることを評価。一方、メンバー発表で見えた「序列」を懸念している。
「代表にもう一度呼ばれるのは当然」
欧州遠征で戦うのは2018年3月23日にマリ、27日にウクライナ。いずれもW杯には出場しないが、ハリルホジッチ監督は15日のメンバー発表会見で、「マリはセネガルに、ウクライナはポーランドに似ていると思う」と述べており、日本がW杯のグループリーグで戦う相手を想定していると見受けられる。
だが、セルジオ氏は18日放送の「SPORTSウォッチャー」(テレビ東京系)で、「W杯に出ない国(マリとウクライナ)と戦っても仮想になりません。ただアフリカと欧州だからといって、選手も違えば、レベルも戦術も違います。他の国はW杯に出る国と練習試合を組んでいます」と、「仮想セネガル・ポーランド」を否定。「あくまでこの2戦は、監督が悩んでいるポジションの選手や初招集の選手をどう使ってレベルアップするか、彼らにチャンスを与えて最終的なチームを決めるか、そのためにある」との考えを述べている。
メンバー26人には17年9月のW杯最終予選以来、半年ぶりに本田選手が名を連ねた。今季はパチューカでリーグ戦24試合7ゴール6アシストと好調。17年7月まで所属していたACミラン(イタリア)でのくすぶりようとは見違えるコンディションの良さを見せている。
セルジオ氏は「本田が今まで落とされたのは試合に出ていなかったから。今度は出場試合が多く、得点もして活躍しています。代表にもう一度呼ばれるのは当然だと思います」と高く評価し、「彼は先発で使わなかったら呼ぶ意味がない」とも述べる。今まさに結果を残している選手を優先して使うべきという考えのようだ。
懸念しているのはスターティングメンバー争いにおける「序列」だ。ハリルホジッチ監督は代表選手発表で、ポジションごとに主力と考える選手から順に紹介する傾向があるとされる。分かりやすいところでは今回、左サイドバックの3人はDF長友佑都選手(トルコ1部・ガラタサライ)、DF車屋紳太郎選手(川崎フロンターレ)、DF宇賀神友弥(浦和レッズ)の順でスクリーンに名前が映され、監督は「長友選手の存在感は日本代表に不可欠」と明言したうえで「それから車屋と宇賀神の戦いがこれから始まる」と紹介していた。
「2番手、3番手の選手のモチベーションが下がる」
本田選手の名前が出た右ウィング(4-3-3で3トップの右の位置)は、もう1人選出の久保裕也選手(ベルギー1部・ヘント)が先に紹介。ファーストチョイスは久保選手と見られている可能性が高い。セルジオ氏は「遠征に行くためのメンバーを発表するときに1番手、2番手とみせるのは、チームの中で2番手、3番手の選手のモチベーションが下がるのではないか」として、序列をつけることに「間違っていますね」と否定的だ。
「序列」の懸念は、A代表に初招集されたFW中島翔哉選手(ポルトガル1部・ポルティモネンセ)にも当てはまる。右ウィングの3人は順に、デュッセルドルフ(ドイツ2部)のFW原口元気選手、同クラブのFW宇佐美貴士選手に続き、中島選手の名前があがった。そのまま受け取れば「3番手」ということになる。
中島選手は16年リオ五輪代表で、クラブでは今季9ゴール7アシストと絶好調。セルジオ氏は「所属クラブで得点しているし、ドリブラーとして評価されたから選ばれた。五輪代表でも素晴らしい活躍をした。代表で初めてだからといって、W杯が迫るこの時期の試合で、ちょっと途中に出す、あるいは練習で見たい、というのは何も意味がない。本田と同様、中島も先発で出すべきと思う」と、積極的な起用を促していた。