岡田光世「トランプのアメリカ」で暮らす人たち 「もう顔も見たくない」コミュニティの亀裂

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ピクニックで始まった論争

「トランプ支持派と反トランプ派が顔を突き合わせて、冷静にお互いの考えに耳を傾け合ったらどうなのかしら」

   私がそう提案すると、友人も深くうなずいた。

「だから私は、CNNやNBCだけでなく、FOXも見るようにしているわ。FOXはあまりに偏った報道で、聞いていて堪えられなくなるけれど。トランプ支持者はCNNやNBCを、反トランプ派はFOXを見て、そのあと、お互い冷静に感想を述べ合ったらいいと思うの。私は公平に判断して、冷静に話せる自信があるわ」

   ジェリーを訪ねた翌々日の夕方、コミュニティの敷地内で週一度のピクニックがあった。皆で料理や飲み物を持ち寄り、交流を深める。コミュニティは大きいが、ここに集まるのは、近くに住む20世帯ほどだ。せっかくいろいろな人が集まるのだから、トランプ氏に対する意見を聞いてみたかったが、和やかな雰囲気を壊したくはない。

   数日前に手作りの豆料理を届けてくれた女性(50代)が、すぐそばにいたので何気なく声をかけてみた。

   「ほかの人に聞かれちゃうから、ここではちょっとね」とその人は答えた。

   やがてひとりふたりと家に帰っていき、友人夫婦と私以外に、一組の男女が残った。ジョージという50代くらいの男性に、「ちょっと質問してもいいですか」と尋ねると、「何でも答えるよ」と言うので、トランプ氏について聞いてみた。彼は、コミュニティに住む女性のボーイフレンドらしい。

「トランプは大好きさ。生まれて初めて、ああ、俺たちアメリカ人のためのアメリカにいるんだって、そういう気持ちにさせてくれたよ」

   「そうそう、私も同感」と、彼のガールフレンドが少し離れたところに立ったまま、合いの手を入れる。

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