なぜ「嘘松」はなくならない? 日本ネット文化の「盛る」DNA

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「リングと観客席が一体のプロレス」

   井上さんが最近の「嘘松」との類似を指摘するのは、1990年代後半から2000年代前半にかけて流行した「テキストサイト」だ。これらのサイトでは、多くの書き手が、自らの身辺の話題などをユニークな筆致で描いて人気を呼んだ。

「当時は画像や動画を載せるのが難しかったので、言葉(テキスト)だけでわかりやすく出来事を書かなければいけませんでした。すると読者を喜ばせよう、という意識もあって、自然と『盛る』ことになる。それが繰り返される中で、盛り方もだんだん洗練されてくるわけです」

   こうした「盛る」ネット文化は、SNS時代となった現代にも受け継がれている。ユーチューバーなどもその系譜にある、というのが井上さんの持論だ。

   さらに井上さんは、「嘘」に乗っかって盛り上がる人、ツッコミを入れる人も含め、それを受け入れる「観客」たちの存在も重要だと語る。

「いわばプロレスです。明らかに『盛った』話でも、相手の『技』をとにかく受けてやる、かかってやる。そういう意味ではネットは、リングと観客席が一体になった、壮大なプロレスといえるかもしれませんね」
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