事業環境は大きく変化
吉永氏は「中村さんに権限をどんどん渡して、邪魔にならないようにしたい」と述べ、自身が信頼回復に取り組む間に、中村氏は事業戦略を練ることになるということだろう。
だが事業環境は大きく変化しており、「堅実な成長」を実現するのは容易ではない。
まずは販売台数の伸びの鈍化だ。2018年3月期の世界販売は106万7100台を見込むが、これは前期より2500台増えるだけ。地域別では中国が1万7700台減の2万9800台と、不振が際立つ。稼ぎ頭の米国は67万1300台と3700台増えるが、総需要にピークアウト感が漂う中、今後は厳しい展開も予想される。
電気自動車(EV)や自動運転など、自動車業界は100年に一度の変革期にあるといわれる。トヨタ自動車の1割程度の規模のスバルが、すべてを自前でやることは不可能。「競争」と「協調」の線引きをうまく引いていくことも必要だ。
5月から今夏に延期された中期経営計画の策定は中村氏が主導するという。成長軌道をどう描くのか、まずは注目だ。