ゲーム攻略情報サイト「ヘイグ」のコンテンツを不当に転用していたとして、大手ゲーム攻略情報サイト「GameWith」を運営するGameWith(東京都)が2018年3月15日、ヘイグを運営するヘイグ(東京都)のもとを訪れ、謝罪していたことが分かった。
16日のJ-CASTニュースの取材に、GameWithの広報担当者は「記事の作成に関するマニュアルの周知徹底が行き届いていませんでした」と説明した。
はじめは「問題はなかった」と回答
GameWithは、国内最大級の規模でスマホゲームアプリの攻略情報を掲載するメディアだ。2013年のオープン以来、ゲームのレビューや動画配信のコンテンツを提供しており、17年6月に東京証券取引所マザーズ市場に上場。過去には月間ページビュー(PV)約8.9億、月間ユーザー数(UU)約4176万人を記録している(17年5月期第3四半期の月間平均)という。
そんなGameWithが今回、月間ページビュー(PV)2000~3000万PVのヘイグから複数のコンテンツを盗用していたことが分かった(数字はヘイグの公式サイトより)。
きっかけは、ヘイグの菱沼祐作社長による2018年3月9日未明のツイッター投稿だった。8日発売の「PlayStation 4」専用のゲームソフト「北斗が如く」(セガゲームス)をめぐる攻略情報をヘイグで公開したところ、「色んなサイトにどんどんパクられてる」と発見。その上で、
「一番ヒドイのは一番知名度が高いであろうGame○ithさん(略)こんなにあからさまにパクるヒドイサイトだとは思わなかった」
と、暗にGameWithに「パク」られているとの疑いを明かしたのだ。
具体的な「パクり」の事例として挙げたのは、ヘイグで「マップ」の項目に掲載していた、同ゲーム上の街「エデン」の地図イラストだ。GameWith上のマップもこれとそっくりな絵柄だとし、同サイトのマップをスクリーンショットで撮影、ツイッターに投稿した。あらかじめマップに記載していたURLを削除するなど、手を加えた跡もみられたという。
菱沼氏は9日未明、「参考とかそういう次元じゃない。各所丸パクリ」と投稿し、GameWithの問い合わせフォームに連絡したと報告。3月15日のJ-CASTニュースの取材に応じた氏によれば、GameWithからは9日中に回答があった。ただ、指摘箇所を修正した上で、
「『問題はなかった』『今後も適切に提供する』」
とする内容だったという。
菱沼氏は9日正午ごろ、記事の修正を発見したとして「パクり記事の一部修正があったのでスルー&泣き寝入りコースなんだろうか」と投稿。「修正はされたものの謝罪などは一切ありませんでした。こんなやったもん勝ちの対応を容認するわけにはいきません。本当に悪質な企業ですね」などと訴えた。
「誠意ある謝罪を頂きました」
GameWithから動きがあったのは、3月14日。菱沼氏は同日夕、ツイッターで「GameWith の役員さんから連絡がきました。謝罪して頂けるそうです」と投稿。15日夜に「先ほどGameWithの方々とお会いし、誠意ある謝罪を頂きました」と明らかにしたのだ。
16日のJ-CASTニュースの取材に、GameWithの広報担当者は「取締役の管理部長ら4人が先方を訪問し、謝罪しました」と話した。9日の時点でヘイグに「問題はなかった」と回答した後、14日まで連絡していなかったことについては、
「社内で調査をする前に最初の回答を送りました。すべて調べ終わった段階で、改めて連絡しました」
と説明。その上で、コンテンツの転用について
「『北斗が如く』でマップを作成する時などに、先方のものを参照し、こちらで検証をすることなく、文字の配置などをそのままに転用しました」
と認めた。
地図イラストの他にも、ヘイグが「サブイベント」の項目に掲載していた「サイドミッション」「賞金首ハンター」の記事などを転用したという。
一方の菱沼氏も15日、GameWith側の謝罪に応じた後、J-CASTニュースの取材に「私の指摘した点すべてに問題があったと、謝罪がありました」と明かした。
「今回の件について、私が問題視していたのはトレースだけでなく、WELQのような手口によるコンテンツ盗用(コピー/パクリ)でした。予想していたとおり、私が寝ずの徹夜でプレイ&更新した記事を、その都度コピーし、少しだけ加工・あるいはそのままの状態で確認もせずに公開していました」
と説明。地図イラストの「加工」については、「スクショ自体は自前で用意し、そこに弊社が加工したマップをトレースしたとのことでした」という。
家庭用ゲームは2作目「ノウハウ不十分だった」
なぜ、GameWithはこうして他メディアのコンテンツを不当に転用したのか。
GameWithの担当者は「私どもはアプリゲームをメインとしており、コンシューマーゲーム(家庭用ゲーム)は、『北斗が如く』で2作目でした。コンシューマーゲームのノウハウが十分ではありませんでした」と説明。その上で、
「今回の記事は、チームで担当しました。社歴の長い者が指揮系統を取っておりましたが、中には新しく入ったメンバーもいました。記事の作成に関するマニュアルの周知徹底が行き届いていませんでした」
と述べた。今後の対応については、
「今後も多くの皆さんに楽しんでいただけるよう、編集部の管理体制を再確認し、再発防止に努めます」としている。
一方、菱沼氏は15日の謝罪について
「この流れに関する事情説明、今後の再発防止策について、話がありました。謝罪文の掲載なども行うとのことで、最初から最後まで誠意ある姿勢でした」
と振り返っていた。
「GameWith側はしっかり問題点を認識しておりましたので、今回の話通り対応してもらい、再発防止に努めてくれればと思っています」