財務省は決裁書類の改ざんを認めたものの、「本当にこれだけなのか」といった疑念がくすぶり続けている。その理由のひとつが、財務省が現時点で公開したのは、改ざん前と改ざん後の書類を並べた新旧対照表のみで、改ざん前の書類そのものは公開していないからだ。
改ざん前の書類には「別紙1」の表記がある。野党側は、「別紙2」などが存在するのではないか、と疑問を呈している。
改ざん後には「別紙」とあるのみ
財務省が2018年3月12日に発表した資料は、表紙・目次を除いて全78ページ。計14の決裁文書について、左側に改ざん前、右側に改ざん後の文書を配置し、改ざん箇所にはアンダーラインが引かれている。現時点で公表されたもので改ざん前の文書の内容が分かるのは、この新旧対照表だけだ。野党側は3月14日のヒアリングで改ざん前の書類そのものを提出するように求めたが、財務省は翌15日のヒアリングでも提出しなかった。
とりわけ野党が問題視しているのが、「普通財産の貸付けに係る承認申請について」と題した特例承認の決裁文書(15年2月4日、4月30日)。昭恵氏をめぐる発言が削除された文書だ。昭恵氏の発言があったのは「これまでの経緯」とタイトルがついた項目。改ざん前バージョンは分量が3ページ半もあり、右上に「別紙1」の但し書きがあるのに対して、改ざん後バージョンの分量は半ページ程度で、右上にも「別紙」とあるのみだ。
この点について、希望の党の階猛(しな・たけし)衆院議員は、
「(改ざん前バージョンに)『別紙1』があるということは、『別紙2』が少なくともある。なぜこれはついていないのか。書き換え(改ざん)後は『別紙』としか書いていないから、『別紙2』とかはないはず」
と、改ざん前バージョンに未公開部分がある可能性を指摘。財務省の富山一成理財局次長は、
「その点は確認したいと思う」
と引き取るにとどめた。