これがレスリング協会不信の原点――伊調パワハラ告発の弁護士が明かす「重大事故」

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「従前から合宿中の練習については協会が保険加入していない」

   貞友弁護士は、頚椎損傷の事故をめぐり「安達さんから『事故を公表していない。補償もされていない。お母さんと会って相談に乗ってあげてほしい』と依頼を受けて、12月1日夕方に多摩の病院に行きましたが、協会の人間に門前払いにされ、谷口さんのお母さんとは会えませんでした」と明かす。

   そこで、12月6日付でスポーツ庁に質問状を提出。それによると、「強化合宿中のスポーツ安全保険などの団体保険も掛けられておらず、本来なされるべき高額の補償や賠償がされていないのではないか」「強化合宿責任者の責任逃れの隠蔽工作がされているのではないか」「現在の選手や学生に仮に事故が起きても補償がされず自分の事故についても闇に葬られるのではないか」との不安が広がっているなどと訴えたうえで、複数の質問を投げかけている。

   これを「内閣府の問題だ」として同庁は受けつけず、12月14日付で内閣府公益認定等委員会に改めて質問状を提出した。ところが12月26日、「うちは関係ないと言っていたスポーツ庁から電話で連絡がありました」という。

   同庁は質問状に対し、「事故当日夕方JOC(日本オリンピック委員会)の職員から報告があった。容態もJOCを通じて報告を受けている」とし、事故の検証と再発防止については「レスリング協会においてなされるものである。ほかの選手への影響があるとのことで、どのような状況であったかを問い合わせた。協会の返事はVTRなどを検証したが、通常の容態のスパーリングであったとのことであった」などと回答した。

   そして保険や補償については、

「従前から合宿中の練習については協会が保険加入していない。大会に参加する際には保険をかけている。谷口君については所属団体が保険に入っている、その保険が使えるかどうかは現在不明である」

と答えたという。

   貞友弁護士は、今回の頚椎損傷での賠償額は「裁判例から2億円という計算になりました。2億円もらわなければ合いません」と明かしている。

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