財務省の決裁文書改ざん問題では、改ざんを誰が行い、誰が指示していたかについて「人事当局」や「人事担当部局」が引き続き調査を続けると財務省は説明していた。野党は2018年3月12日のヒアリングで、「人事当局」「人事担当部局」が何者で、調査の体制などを明らかにするように求めていたが、翌3月13日は事実上「ゼロ回答」だった。
これに加えて、財務省は3月5日に国交省から改ざん前の文書の提供を受けていたが、改ざんの事実を明らかにしたのは1週間後の12日だったことも明らかに。野党側は「もうひとつの文書があったことを知っていたわけでしょ?」と不信感を強めている。
2017年5月時点でバージョン違い指摘されていた
野党側は「人事当局」の担当者もヒアリングに出席するように求めていたが、出席しなかった。結局、連日のように答弁している財務省の富山一成(とみやま・かずなり)理財局次長が、「人事当局」は大臣官房にあたることを明らかにし、
「現在まさに調査を行っているところであり、その状況をお答えすれば、調査そのものに影響しかねないことから、お答えを差し控えたい」
などとメモを読み上げた。調査が終わるメドについても明らかにならなかった。
財務省が改ざんを把握していながら国会に明らかにしていなかった疑いも、大きく2つ明らかになった。1点目が、本来は同一であるはずの決裁文書について、会計検査院が財務省と国交省から受け取った文書とで差分があった点。会計検査院は17年5月にこの点について財務省に問い合わせていたが、「財務省から提出されたものが最終版」という財務省の説明を受け入れていた。この時点で、財務省は外部から書類のバージョン違いを指摘されていたことになり、改ざんに気づいていたはずだ、というわけだ。
会計検査院の問い合わせに答えた人が改ざんに関与?
富山氏は
「何らかの形で、これはちょっと私の推測も入るが、書き換えに関わった人間が(会計検査院からの問い合わせに)答えているのではないか」
と推測。その理由を
「決裁文書が唯一無二なのは当たり前。『別のものがうちにきてるんだけど、どっちですか』と(検査院に)言われて『こっちです』と答えているということは、確認もせずにそういうことになっているということは、おそらく答えている人間が、少なくとも関わっているのではないか」
と説明した。
福島瑞穂議員「カマトト発言で理解できない」
2つ目が、国土交通省が改ざん前の文書のコピーを18年3月5日に財務省に渡していた点だ。石井啓一国交相が3月13日の記者会見で、
「3月5日に財務省に対して、公開されているものと内容が異なる部分があるということを伝えた上で、当方が保有している決議書のコピーをお渡ししている」
と明らかにしている。財務省は3月8日、決裁文書を参院予算委員会理事会に提出したが、すでに17年に国会に開示された文書と同様だったため、野党は「ゼロ回答」だと猛反発した。
野党側が
「『今のところこれしかない』と答えていたあの8日、その時点でもうひとつの文書があったことを知っていたわけでしょ?」
と反発する中、富山氏は3月5日に国交省から文書の提供を受けたことを認めた上で、
「職員のヒアリングをしなければならない初期の段階。昨日も申し上げたが、正直、まさかこんなことが起きているとは最後まで分からないというところがあった」
などと釈明。野党側からは
「カマトト発言で理解できない」(社民党・福島瑞穂参院議員)
などと反発の声があがっていた。