財務省による決裁文書の改ざん問題で、会計検査のあり方をめぐる問題点も浮上している。2018年3月12日に野党6党が行ったヒアリングでは、財務省は会計検査院に対して改ざん後の文書を提出していたことが新たに判明。国交省は改ざん前の書類を提出しており、会計検査院は同じ文書なのに内容に違いがあることに気づいていた。
だが、会計検査院は「財務省から提出されたものが最終版」だという財務省の説明を受け入れる形となり、改ざんを見抜けなかった。野党議員からは「何検査してんだよ!」といった怒りの声があがった。
財務省「財務省から提出されたものが最終版」
問題化したのは、森友学園との土地取引の調査の際に作成された「普通財産売払決議書」(2016年6月14日)。会計検査院は17年11月、国有地の値引き額の算定根拠が不十分だとする検査結果報告書を公表している。この検査の際に両省から提出された文書だ。
会計検査院の山崎健・国土交通検査第2課長はヒアリングの場で、財務省から提出された文書は「いわゆる書き換え後のものと同様だと認識している」のに対して、国交省から提出された文書は「基本的には書き換え前のものと同様」だと説明した。
会計検査院は検査の過程で両省から提出された文書の違いに気づいたが、財務省に確認したところ
「財務省から提出されたものが最終版であるという説明を検査の過程で受けた」
という。国交省に確認したかどうかについては、山崎氏は
「はっきりした、どちらかというのは確認できていない」
と述べるにとどめ、この日の会合では改ざんを見逃した原因は明らかにならなかった。