読売新聞と産経新聞・FNNがそれぞれ行った世論調査で、安倍晋三内閣の支持率が両調査とも6ポイント低下し、50%を割り込んだ。両紙とも、「森友学園」をめぐる財務省の決裁文書書き換え問題が影響したと分析している。
もっとも、両調査とも調査期間中に「財務省が書き換え認める」報道が相次ぐ事態となった。それまでは、先行する朝日新聞による「書き換え」報道に対し、懐疑的な目を向ける向きもあっただけに、支持率の下落ポイントの幅に影響があった可能性もある。今後の支持率の動向に注目が集まる。
読売「『森友』 内閣に厳しい目」
読売新聞は2018年3月12日付朝刊(東京最終版)の1面で、書き換え問題報道と合わせ、内閣支持率などの世論調査の結果を伝えた。内閣支持率は48%で、前回調査(2月10~11日)から6ポイント下落した。17年10月の衆院選後、初めて5割を下回った。不支持率は42%だった(前回36%)。
また、他の質問項目では、森友学園をめぐる財務省内の決裁文書について「書き換えられた疑いが指摘されている」(質問文)問題について、「政府が適切に対応している」とは思わない人が80%にのぼっている。調査は3月9~11日に実施した。
こうした結果を受け、3面(総合面)の記事では、「内閣支持率の低下は6ポイントにとどまったが、安倍内閣には厳しい目が向けられている」と指摘し、見出しでも「『森友』 内閣に厳しい目」とうたった。
産経新聞(ネット版)も3月12日昼、FNN(フジニュースネットワーク)と10・11日の両日に行った合同世論調査の結果を報じた。内閣支持率は、前回調査(2月10・11日)より6.0ポイント下がり45.0%と、読売調査と同じく5割を下回った。不支持率は、前回より4.8ポイント増え43.8%。「裁量労働制に関する厚生労働省のデータ不備」や「森友学園」をめぐる「書き換え」といった問題が支持率に影響したとみられる、と分析している。
調査期間中に「財務省、書き換え認める」報道
産経・FNNによる過去の支持率の数字をみると、18年の1月(52.6%)と2月(51.0%)は5割を超えたが、17年後半は12月47.5%、11月47.7%、10月42.5%と5割未満が続いていた(9月は50.3%)。
安倍政権に好意的とされる両紙の調査で、ともに「6ポイント下落」「5割を下回る」結果となった。もっとも、今回の世論調査は、実施期間中に大きな報道の節目があった。
読売調査は3月9~11日、産経・FNN調査は10~11日。読売調査の初日9日段階の両紙朝刊(東京最終版)をみると、読売「森友文書 『書き換え』言及せず」「野党反発 財務省コピー提出」、産経「財務省聴取の27人 決裁後の書き換え否定」「森友文書 深まる謎」などの見出しを立てて報じている。朝日新聞の特ダネ報道で始まった「書き換え」問題について、懐疑的な見方があったこともうかがえる。
9日午後に入り佐川宣寿・国税庁長官が「辞任へ」と報じられ、夜に麻生太郎財務相が正式に公表した。この辞任で「書き換え」問題の「風向き」には変化が出始めたが、大きな節目を迎えたのは、10日夕以降。財務省が、書き換えがあったと認める方針を固めた、と共同通信などが報じ、(朝日新聞を除く)主要各紙が11日付朝刊1面で報じた。報道通り、12日には実際、国会で書き換えを認める説明があった。
こうした流れを受け、今後に公表される他メディアの世論調査や、読売、産経・FNNの次回調査の結果に注目が集まる。
安倍内閣の過去の「低い支持率」をみると、小池百合子都知事と対立していた自民都連が大敗した都議選があった17年7月、読売36%、産経・FNN34.7%を記録している。