財務省の森友学園をめぐる決裁文書が書き換えられたとされる問題で、佐川宣寿・元理財局長が書き換えを指示していたとの見方も出てきた。官僚が独自の判断で書き換えを指示するとは考えにくく、何かに「忖度(そんたく)」した結果だとの見方が強まりそうだ。
森友学園が開校を目指していた小学校の名誉校長を務めていたのが安倍昭恵夫人。野党側は森友学園をめぐる問題の発覚直後から「アッキード事件」だと主張しており、改めて昭恵氏の関与に焦点が当たりそうだ。そんな中でも昭恵氏はフェイスブックの更新を続けているが、事件については触れていない。
国有地売却や小学校認可に関与なら「総理大臣も国会議員も辞める」
昭恵氏は15年9月、森友学園が17年4月の開校を目指していた「瑞穂の国記念小学院」の名誉校長に就任。就任時の記念式典で行った講演の様子をテレビ東京が17年2月に放送している。それによると、昭恵氏は
「こちらの教育方針は大変主人もすばらしいという風に思っていて、(学園理事長の籠池泰典)先生からは、安倍晋三記念小学校という名前にしたいという風に当初は言っていただいていたんですけれども、主人が、総理大臣というのはいつもいつもいいわけではなくて、時には、批判にさらされる時もある」
「もし名前をつけていただけるのであれば、総理大臣を辞めてからにしていただきたいということで...」
と発言していた。安倍首相は「安倍晋三小学校」の命名を断っているが、首相退任後ならば構わないという含みを持たせているように受け取れる。こういったことから、野党は、安倍夫妻の関与を追及してきたが、安倍首相は17年2月17日の衆院予算委員会で、森友学園への国有地売却や小学校の認可に安倍夫妻が関与していたことが明らかになれば、「総理大臣も国会議員も辞める」と断言していた。
今回、財務省が「書き換え」を認める見通しになったことで、安倍夫妻の関与や、財務省の「忖度」が改めて取り沙汰されるのは確実。社民党の福島瑞穂参院議員は、
「官邸は財務省に全ての責任を押し付けようとしている。しかし、森友学園問題の本質は安倍夫妻の問題である。安倍昭恵さんは名誉校長を務めていた。それこそが『本件の特殊性』である。だからこそ財務省は特例的な扱いをせざるを得なかった。安倍総理はこのことについてどのように責任をとるのか」
とツイートし、追及を強める構えだ。