外国企業が中国でやらかす「間違い」 地名・地図という「レッドライン」

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「政治/文化安全審査メカニズム」

   この「条件反射」とは比喩ではなく、本当に本能的反応の一種だ。メディア関係者が「職業病」だと自嘲する様子も常に見かける。街で文字を目にすると、いつも知らず知らずのうちにその「標準的ではない」箇所を取り除きたくなるのだと言う。

   条件反射は、複数回の繰り返された刺激と反応の過程で構築される。しかし、中国にある海外企業に複数回も繰り返されるこのような機会が果たしてあるだろうか。ダイムラーが引用したダライ・ラマの政治とは無関係な発言や、無印良品のカタログに付いていた中国の地図は、スタッフもそこにどんな政治的なリスクが隠れているのかなど想像できないだろう。外国企業のスタッフ全員に、中国メディアのベテラン編集者並みの職業技能を要求するのは確かに少し無理な話だ。

   もちろん、この問題も全く打つ手がないわけではない。いくつかの外資系企業が専任職を設置したり、外部への依頼という形で「政治/文化安全審査メカニズム」を作ったりして、対外的な情報を公表する前に審査させている。審査とは、中国メディアの編集者が「基準」を保証するために行う仕事である。

   こうした対応に対しは憤ることもできるし、滑稽だと笑うこともできる。ただ、実際に中国でビジネスをするなら、中国に特有の「条件的反射」、あるいは中国の常識とは何か、少し心得ていたほうがいいことは確かだ。

(在北京ジャーナリスト 陳言)

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