「進研ゼミ」のDM(ダイレクトメール)に掲載された漫画に、吹奏楽部員から「おかしい」とのツッコミが出ている。
話題の漫画には、ヒロインが通う中学校の吹奏楽部のメンバーが、コンクールで「銅賞」を獲得して喜ぶシーンがある。このページがツイッターで紹介されると、「銅賞は参加賞」「(作者が)勘違いしているのでは」といった指摘がネット上に相次いだのだ。
「銅賞をなにか勘違いしてるのでしょうか」
多くの吹奏楽コンクールでは、参加した全団体に金賞・銀賞・銅賞のいずれかを送るシステムとなっている。中学・高校などアマチュア団体を対象とした「全日本吹奏楽コンクール」の大会でも、同様の表彰形式が取られている。
そのため、吹奏楽経験者の間では、仮に「銅賞」を得たとしても、それはあくまで「参加賞」のようなものだと認識する向きが一般的。さらには、仮に最高ランクの「金賞」を受賞したが、上位の大会への出場団体に選ばれなかったケースを指す「ダメ金」という言葉もある。
こうした独特な表彰システムをめぐって、吹奏楽部をテーマにした進研ゼミの漫画にツッコミが相次ぐ騒ぎが起きた。
話題の漫画は、2018年4月から中学3年を迎える生徒に送られたDMに掲載されたものだ。このDMを受け取ったある女子中学生が2月28日、「銅賞」で喜ぶ漫画のシーンについてツイッターで、
「吹奏楽コンクールにおける銅賞をなにか勘違いしてるのでしょうか」
とツッコミを入れたのだ。
この投稿は3万8000回以上のリツイート、7万5000件以上の「いいね」を集めるなどネット上で大きな反響を呼ぶことに(数字は3月7日現在)。投稿のリプライ(返信)欄などには、
「銅賞ってのはな......参加賞やで......」
「吹奏楽部警察としてはコレは酷いと思う」
「銅賞でこんなに喜んでるやつ初めて見た」
「題材にするのであればしっかり下調べして欲しかったな」
といったコメントが相次いでいる。ただ一方で、「3位が銅賞の大会も一部にはある」「(漫画を)全部見ないと分からない」などと理解を示す意見もあった。
ベネッセ「銅賞は意図的な設定」
はたして、こうしたネット上のツッコミに進研ゼミ側はどう答えるのか。ベネッセコーポレーション(岡山市)の広報担当者は3月6日、J-CASTニュースの取材に、「銅賞」という設定は意図的なものだった、と説明する。
話題のツイートの投稿者は、銅賞を獲得した部員たちの姿などのシーンだけを掲載している。だが、ベネッセの広報担当者は、
「こちらの漫画は、物語前半部分で、吹奏楽部の部長が転校してしまったため、思いがけず主人公が新部長となり、とまどいつつ仲間と頑張っていくというストーリーです」
と説明。主人公が新部長となった後は、「下級生が部活をやめたいと言い出すなど、部全員で最後のコンクールに出場することが危ぶまれる」展開になるという。
その上で広報担当者は、今回の漫画の部員が「銅賞」を獲得して喜ぶシーンの意図について、
「(主人公が)部長になった後も、が、それを乗り越えて、みんなで励まし合いがんばってやり抜いたことにより『部員皆でコンクールに出場し演奏できた』ということを伝えるため、今回『銅賞』の設定といたしました」
としていた。