飲食店「ドタキャン」裁判を傍聴 わずか1分で店側勝訴、弁護士が明かした対策

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ドタキャン予防にはメールで証拠を残す

   飲食店がドタキャンの被害に遭うことはメディアでも時折報道されており、店側が裁判に訴えるにはどういう点に気をつけるべきか、またそれ以前に被害に遭わないようにするにはどうしたらよいか、石崎弁護士とAさんに聞いた。

   ――訴訟に持ち込む際の注意点を教えてください。

石崎さん「裁判に訴えるには2つのポイントがあります。食事をする約束(契約)をしたのに来なかったという債務不履行で訴えるやり方と、食事に来なかったために損害を与えたという不法行為で訴える方法です。不法行為が故意なら業務妨害罪のようなものにあたります」

   ――両方とも同じに見えますが、どう違うのですか?

石崎さん「不法行為で訴える場合は、いくら損害をこうむったかを店側が証明しなくてはいけません。このことが飲食店がドタキャンを訴えることを難しくしています。例えば、40人分の宴会をキャンセルされたため食材が無駄になったと主張しても、本当に食材すべてを捨てたのか、他の客に転用したのではないか、冷凍保存すればまた使えるのではないか...と、ドタキャンした側に突っ込まれる恐れがあります。また、宴会準備のためにバイトを増やして人件費がかかったと主張しても、本当に臨時バイトが必要だったのかと、細かい疑問を突っ込まれる心配もあります」

   ――債務不履行の方が訴えやすいのですか。

石崎さん「はい。契約段階で損害賠償の金額を定めておけるので、こちらの方が楽です。Aさんの場合は、ショートメールでやりとりをしたから契約の物的証拠が残っている。しかも『キャンセル料は料理代の100%をもらいます。このことは店のホームページに書いています』と確認のメールを送っているので、損害賠償額をシンプルに決めることができました」

   ――すると、電話のやりとりだけでは証拠が残らず、債務不履行で訴えるのも難しくなるということですか。

石崎さん「そのとおりです。だからドタキャンの防止にはショートメールなどでやりとりをして、ちゃんと証拠を残すことが大事です」
Aさん「ある飲食店では、電話で予約を受け付けると、電話に相手の携帯の履歴が残り、自動的に相手の携帯メールに『予約を受け付けました。料理のコースは○○...、キャンセル料は××』とショートメールが送信されるシステムを導入しています。カネはかかりますがドタキャンがしにくくなります」
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