最年少プロ棋士の藤井聡太六段(15)と師匠の杉本昌隆七段(49)の公式戦初対局となる第68期王将戦一次予選が、2018年3月8日、関西将棋会館(大阪市)で行われた。
史上最年少で六段に昇進し、勢いに乗っている藤井六段が師を超えるか、杉本七段が貫録を見せつけるか――注目を集めた対局は、18時20分ごろ、111手で藤井六段が勝利し、連勝数を14に伸ばした。
「持久戦」で勝ち狙う姿勢見せた杉本七段だが...
2月に五段に昇段してからすぐ六段に昇段し、3月1日の第31期竜王戦ランキング戦で阿部隆八段相手に勝利を収めて13連勝を重ねるなど勢いに乗っている。
師匠の杉本七段は1990年に四段に昇段後、およそ5年ごとに段位を上げ、2006年に現在の七段となっている。近年では、藤井六段を幼少期から知る人物として、メディアに取材を受ける機会も多い。
対局当日の3月8日に放送された「直撃LIVEグッディ!」(フジテレビ系)では、同番組の取材に対し、杉本七段は師弟対決を楽しみにしていると語った。
また、「強さは証明されている」ため弟子が師匠に勝利し、成長ぶりを示す「恩返し」は「してほしいとは思っていない」と話すと、
「充分強さは知っていますから、今までの自分の持っているものを全部出して、弟子にそういう将棋を見せたいなと思っています。それが藤井に対しての礼儀ですし、見ていただいているファンの方に対する礼儀かなと」
と、勝ちに行く姿勢を見せた。持久戦になるほど自分のペースに持ち込めるという戦略についても語ったという。
千日手で「指し直し」...サイトではコメント殺到
公式戦で初の師弟対決は10時に始まり、対局全体をネットで生中継する「将棋プレミアム」には多くの視聴者が集まり、両棋士の手に対してのコメントが殺到した。ツイッターには「つながりにくい」という報告が上がるなど、その注目度の高さがうかがえた。
「長引くほど自分のペース」という発言通りか、昼休みを挟んで対局が再開されると、60手目で千日手となり、13時43分から先手と後手を入れ替えて指し直された。
両棋士ともに慎重に駒を進めたが、徐々に藤井六段が優勢になり、111手目で杉本七段が投了した。