日本レスリング協会の栄和人・強化本部長が伊調馨選手にパワハラをしていたとの告発状が提出された背景に、「学閥闘争」が潜んでいるとの説が浮上した。
栄氏が監督をつとめる至学館大学と、告発状に協力した田南部力コーチらの出身大学である日本体育大学との対立構図だ。だが、告発状を提出した貞友義典弁護士は、この学閥争いの線を「バカげた論調」と一蹴している。
「『日体大のクーデターではないか』というバカげた論調がありますが」
レスリング界をめぐる「学閥闘争」は、週刊新潮2018年3月8日発売号(15日号)が報じた。女子で一強体制の至学館を、男子の強豪である日体大勢が快く思っていないというのだ。そこに、栄氏と確執がある「伊調選手の従兄弟と称するI・T氏」が、日体大OBに栄氏失脚の協力を仰いだのではないかとし、「至学館vs.日体大という権力闘争が潜んでいるのが透けて見える」と論じた。
告発状に関わった田南部氏と安達巧氏は、いずれも日体大OB。アテネ五輪銅メダリストの田南部氏は東京で伊調選手を指導したコーチで、バルセロナ五輪代表の安達氏は日体大レスリング部の監督もつとめていた。また、新潮では「協会の幹部」の話として、これまた日体大OBの佐藤満・専修大学レスリング部ヘッドコーチを、現在栄氏が就いている協会の強化本部長に推す動きがあるとも報じている。
ところが、告発状を提出した貞友弁護士は首を傾げる。8日放送の「ビビット」(TBS系)で学閥について聞かれ、「たまたまA氏(田南部氏)もB氏(安達氏)も日体大(OB)ですが、私は少なくとも日体大から頼まれていません。『日体大のクーデターではないか』というバカげた論調がありますが、『日体大のために告発してくれ』と言われたら絶対にやっていません」と真っ向から否定した。