出資割合を引き上げ
重工と自工は、元は「親子関係」とはいえ、法人向けが多い重工と、一般消費者を対象とする自工とではビジネス上の相乗効果は薄かった。とくに重工は国産旅客機MRJなど他の重点分野に注力する必要があった。銀行も株式の持ち合い解消を進めており、最終的に商事の割合を高めることで一致した。重工は1.45%、銀行は1%分の保有を続ける。
商事はこれまでも、東南アジアやロシアなどで自工と共同で自動車販売などを幅広く展開し、接点は広い。しかし現状の出資比率では、どんなに利益を上げても得られるのは配当収入のみだった。今回、商事は約1200億円を投じて出資比率を引き上げ、自工を持ち分法適用会社化して、自工の利益の一部を取り込む。
自動車産業は今、100年に一度の変革期にあるといわれる。すなわち電動化や自動運転やライドシェアといった新潮流だ。輸出入や海外での販路開拓といった従来型の商社ビジネスには収まらない、大きなビジネスチャンスが広がっている。
だが自動車メーカー、IT企業を交えた激しい競争になっており、リスクも大きい。自動車の新時代に果実を得られるのか、総合商社の雄、三菱商事の真の実力が問われそうだ。