朝日新聞が特ダネとして報じた「森友文書 書き換えの疑い」が連日、国会で取り上げられている。
「事実なら内閣総辞職に値する」(古川元久・希望の党幹事長)といった指摘が出る一方、ツイッターには「朝日、大丈夫か」との声も。朝日による森友学園の小学校名報道をめぐり、安倍晋三首相が国会で「誤報」指摘をしたことが念頭にあるようだ。新聞他紙の扱いも濃淡が見受けられる。
「文書書き換えの疑い」
朝日新聞は2018年3月2日付朝刊(東京最終版、以下同)の1面トップで、「森友文書 書き換えの疑い」を報じた。財務省が、森友学園との国有地取引の際に作成した決済文書が、「契約当時」と「問題発覚後に国会議員らに開示した時」とで内容に違いがあり、「特例」などの文言が複数個所でなくなっている、と指摘。「朝日新聞は文書を確認」と書いている。
この朝日報道は、2日の国会でも取り上げられた。麻生太郎財務相は、大阪地検特捜部の捜査に影響を与える可能性が「予見しがたい」として、「答弁は差し控える」との答弁を繰り返した。参院予算委員会で「(朝日報道は)誤報なのか」との質問も出たが、麻生財務相は「判断する立場にはない」と答えるにとどめた。
朝日は朝刊以降も、2日夕刊の1面3段で、麻生大臣の答弁内容などを伝えた。3日付朝刊でも1面トップで扱い、2面の時時刻刻、4面・焦点採録、社説、第1社会面(3段)と大々的に展開した。4日付朝刊では、朝日報道などを受け、市民団体が財務省周辺でデモをしたことを報じ、5日付朝刊でも、総合第4面(3段)で、国会で追及が続く情勢であることを取り上げている。
全国紙では、毎日新聞も3日付朝刊で1面(3段)と2面で報じた。4日の社説でも触れ、安倍政権の「質疑の劣化が止まらない」と指摘した。日経新聞では、1面には登場しなかったが、比較的丁寧に扱った記事が載った。2日夕刊の3面(3段)で、国会でのやりとりを紹介、3日付朝刊では、第4面で4段の記事に加え、公文書管理法などを解説する3段記事も。国会での質問と麻生財務相らの答弁を一目で分かるようにした表も掲載した。
自民・和田氏「決済途上の文書である可能性も」
一方、読売新聞は2日夕刊(3面2段)と3日付朝刊(4面・政治面に2段とベタ記事)、産経新聞は3日付朝刊(5面・総合面に3段)で掲載。国会でのやりとりや朝日報道の概要などを淡々と報じた。
事の重大性は、麻生財務相も「事実であればゆゆしき事態だ」(5日の参院予算委員会)と指摘する程で、「事実なら内閣総辞職に値する」(古川元久・希望の党幹事長、4日のNHK番組)、「これが本当ならば、(略)政権が吹っ飛ぶ重大問題だ」(日刊ゲンダイ、3日デジタル版)との指摘も出ている。
一方で、自民党の和田政宗・参院議員は5日のブログで「(朝日報道には)説明不足の点がある」と指摘。
「『疑い』と濁したのはなぜか」
「(略)稟議書として上司にどんどん上がっていく中で、2枚目以降に修正点があれば、差し替え、さらに差し替えという形で、最終的に決済を受けた書類になるとのこと。だから、朝日が見た文書は決済途上の文書である可能性もある」
「朝日は(略)根拠を持って言えるのかもしれないが、その根拠と証拠をまだ示していない」
と疑問を呈した。
またツイッターでは、森友学園の小学校名報道で、後に開示された設立趣意書に記載された校名が、当初の朝日記事とは異なっており、安倍首相が国会で「誤報」指摘していたことを念頭に、
「朝日、大丈夫か?」
「森友...朝日が記事をだすと大丈夫かな...」
「野党も朝日も今度は大丈夫か?」
といった声も出ている。
6日には参院予算委員会などで、書き換え報道を受けた、財務省による調査状況の報告が行われる予定となっている。