2018年2月に行われた平昌五輪開会式出席のために韓国を訪問していた、北朝鮮の朝鮮労働党・金正恩委員長の妹、与正(ヨジョン)氏一行に対して、韓国政府が「国賓A」と呼ばれる最高レベルの警備体制を敷いていたことが明らかになった。
これは、米国のペンス副大統領やトランプ大統領の長女イバンカ補佐官を上回る規模。野党議員からは「北朝鮮を過度に厚遇している」との指摘が出ている。
イバンカ氏は「C」ランク
朝鮮日報や中央日報が2018年3月5日に報じたところによると、この与正氏の厚遇ぶりは、韓国の警察庁が野党・自由韓国党の李鍾明(イ・ジョンミョン)議員に対して提出した資料で明らかになった。
正氏一行が平昌五輪開会式出席後、宿泊先のソウル市内のホテルに移動する際、最高レベルの「国賓A」級の警護が行われ、その後、青瓦台(大統領府)訪問などイベントに参加する際は「国賓B」級の警護が行われた。
「A」「B」といった区分は青瓦台の警護処と呼ばれる部署が決めたといい、パトカーなどの車両動員の台数や、車両・車線制御といった交通規制の規模が違ってくる。
なお、開会式の際は与正氏一行が「A」だったのに対して、ペンス副大統領は「B」。グテーレス国連事務総長、オランダ、スウェーデンの国王、ノルウェー、エストニア、スイス、スロベニアの大統領、ノルウェー、フィンランドの首相は「C」だった。閉会式の際のイバンカ氏も「C」だった。
食事では「イバンカ氏の方が格上」説も
朝鮮日報によると、与党関係者は
「正恩氏の実の妹、与正氏の警護リスクを考えると適切な措置だった」
などと理解を示す一方で、説明を受けた李議員は
「同盟国である米国の副大統領と国連事務総長が『国賓B・C』級警護を受けたことと比較すると、北朝鮮を過度に手厚くもてなした」
と批判的だ。
一方で文氏は与正氏、イバンカ氏の両者と青瓦台で食事をともにしている。その食事の種類や場所からすると、逆に「イバンカ氏の方が格上」だとの見方も出ている。文氏氏は開会式翌日の2月10日、本館の「忠武室(チュンムシツ)」と呼ばれる部屋で与正氏とランチミーティングを行った。ここは一般的な面会室にあたる。これに対して文氏は2月23日、イバンカ氏のために晩餐会を開催。場所は国賓級の人をもてなす「常春斎(サンチュンジェ)」と呼ばれる別館だった。