「品質に対する内部統制の脆弱性がある」
また、宇部興産が加盟する経団連は昨17年12月4日、1500の会員企業・団体に自主的な調査を1月末をめどに行うよう呼びかけた。その結果、旭硝子子会社のAGCテクノグラス、コスモエネルギーホールディングス子会社の丸善石油化学など5社で新たな不正が見つかり、各社が2月2日までに公表。製造業を中心に大手企業が加盟する経団連としては、素材メーカーで相次ぐ不正に自主調査で一区切りつけ、信頼回復を図るのが目的だった。ところが宇部興産の新たな不正の発覚で、経済界全体の信頼回復がまたひとつ遠のく格好となった。
記者会見で山本社長は「経団連の要請は承知しているが、私どもとしては品質第一、お客様優先ということで対処した。やるべきことはやったという認識だ」と釈明したが、他社に比べ情報公開のタイミングが遅れたのは否めない。
問題となった電線や通信ケーブルの被覆材で、強度や伸び率など必要な検査を1990年代から行わず、過去のデータを流用していた理由も、記者会見で明らかとなった。納期が迫っていたなどの理由は見当たらず、「検査が面倒くさいから、漫然と過去の数字を書き込んでいたのでは?」との全国紙記者の質問に、杉山秀幸専務は「そうですね。そう考えられる」と認めざるを得なかった。山本社長も「品質に対する内部統制の脆弱性がある。身を正して倫理観を遵守させていかなければならない」と陳謝した。