株主間の利益相反
一般に親子上場では、子会社の取締役会は、親会社との取引よりも有利な取引機会があればそちらを選択すべきだが、親会社に有利な取引条件を飲んでしまうということが懸念される。SBGの場合、多額の有利子負債を抱え、主力の携帯事業で利益をあげるSBからの「あがり」が頼り。SBGが目先の利益がほしくて携帯事業で得た金を配当などで吸い上げ過ぎると、SBの成長にマイナスになり、SBの少数株主の利益に反する事態もあり得る。
同じような親子上場はNTTとNTTドコモにも当てはまる。ただ、SBGが孫社長の強力なリーダーシップのもとで、世界的に幅広く投資していることから、基本的に通信事業の枠内での親子上場とは趣が異なり、親子の株主間の利益相反を懸念する声は、はるかに多い。まして、最近は、子会社の少数株主への配当でかえって外部への資金流出になるとか、迅速な意思決定にマイナスなどの理由で親子上場を解消する方向が強い。
孫社長は「SBは今も自律的な経営をしており、(双方の)利害が対立することはない」と強調するが、あえて親子上場を目指す以上、メリット、デメリットをどう考えるかを含め、投資家、審査する東証の理解を得るため、丁寧な説明が必要になる。