三菱重工の「異例」社長人事 「なりふり構わぬ」経営立て直し策

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主力「パワー」部門の苦境

   ただ、注目されるMRJもさることながら、事業として一番苦しいのは、売上高全体の4割を占める主力の「パワー」部門。火力発電機器を中心とする事業だが、一時期ブームだった石炭火力発電も期待に反して低迷するなど、宮永社長も「火力発電市場は構造的に厳しい。苦しい状況は少し長くなるのでは」と認める。パワー部門の2018年3月期の受注見通しは前年比2700億円少ない1兆4500億円と苦しんでいる。

   宮永社長はこの間、事業再構築に様々に取り組んできた。祖業である造船事業を分社し、この1月に「三菱造船」(本社・横浜市)を設立。豪華客船の建造で大赤字を出すなどの痛手を受けた事業の立て直しに取り組む。

   また、最新のトピックスでは、保有する三菱自動車株(保有比率9.9%=間接保有を含む)のうち8.5%分を、三菱商事のTOBに応募する形で売却することも明らかになった。これにより950億円の資金を得るという。三菱自はもともと三菱重工の一部門が独立した。燃費不正など不祥事が重なり、三菱東京UFJ銀行を含む3者で支えてきたが、三菱商事主導で資本関係を整理することになった。三菱重工にとっては、売却で得られる資金をいかに成長に生かせるかが問われることになる。

   逆風が収まらない中の異例の続投だが、日経新聞が大きく報じたほか、朝日、毎日など一般紙は決算発表の記事でMRJに焦点を当てた書きぶりで、社長続投には記事の中で軽く触れる程度という扱いが目立った。

   組織再編や事業の選択と集中といった改革を断行してきた宮永社長。これから1年、さらに成果を積み上げ、次世代にバトンタッチできるか、正念場が続く。

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