三菱重工の「異例」社長人事 「なりふり構わぬ」経営立て直し策

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   三菱重工業の宮永俊一社長が業績悪化の中で、同社社長としては異例の在任6年目に突入する。開発が遅れる国産ジェット旅客機「MRJ」の納入契約で初のキャンセルが出るなど逆風がやむ気配はなく、三菱自動車株の売却などなりふり構わぬ経営立て直しに取り組むことになる。

   宮永社長は2018年2月6日、都内で開いた決算記者会見で、「今は大きな問題に会社全体で取り組む『戦闘状態』にある。早期に対策のめどをつける」と、続投への決意を語った。

  • MRJ開発の視界は…(写真は三菱重工公式サイトより)
    MRJ開発の視界は…(写真は三菱重工公式サイトより)
  • MRJ開発の視界は…(写真は三菱重工公式サイトより)

開発が大幅に遅れている国産ジェット旅客機「MRJ」

   三菱重工は、社長任期は5年までというのが事実上の慣例になっている。戦後の財閥解体で分割された3社が1964年に再結集した「三重工合併」以降、5年超の在任は相川賢太郎氏(在任1989~1995年)だけ。宮永氏はこの「記録」を24年ぶりに破ることになる。

   この日発表した2017年4~12月期連結決算は、売上高が前年同期比5.8%増の2兆8514億円、営業利益は同16.9%増の800億円。受注高は前年同期比3%減の2兆5776億円にとどまった。18年3月期通期の業績予想を据え置いたが、17年10月に通期の連結純利益を、前期比14%増の1000億円予想から9%減の800億円へと大きく下方修正しており、厳しい状況に変化はない。

   部門別では、世の中の注目度も高いのが「航空・防衛・宇宙」部門で、2018年3月期の受注高は前年比4割近く少ない6000億円にとどまる見通しだ。足元では防衛関連の航空機の低迷が響いているほか、開発が大幅に遅れている国産ジェット旅客機「MRJ」の視界が開けない。

   MRJは商業運航に向けて当局の承認をなかなか得られず、納期を5度延期。航空会社への納入開始は当初予定より7年遅れ2020年となっている。この1月末には米イースタン航空が予約していた最大40機のキャンセルを発表している。イースタン航空の事業を買収した米スウィフト航空が契約を引き継がなかったもの。受注は全体で約450機といい、その1割近くを失った痛手は小さくない。宮永社長は2016年秋からMRJ事業を社長直轄として現場に発破をかけ、「試験飛行機の製造を追加で始めるなど、1年で着実な進歩があった」と強調するが、これ以上開発が遅れ、またキャンセルが増えるようなことになれば、社長としての責任問題に発展しかねない。

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