大相撲の貴ノ岩が、暴行被害発覚後、初めて報道陣の会見に応じた。開幕が間近に迫った春場所へ出場するかどうかについては明言を避けた。師匠の貴乃花親方も同席し、傷害事件に関する質問が飛ぶと、親方がさえぎる一幕もあった。
会見模様を伝えたワイドショーでは、貴ノ岩の春場所出・休場の可能性や、「なぜこのタイミングで会見を?」といった疑問点に焦点をあてて紹介した。
春場所へは出場する?
貴ノ岩は2018年3月1日、京都府宇治市内の貴乃花宿舎前で、朝稽古ののちに記者らの質問に答えた。まわし姿で浴衣も羽織らず、背中に砂をつけたままだった。昨17年11月の被害発覚後、会見に応じるのは初めて。貴ノ岩は10月、鳥取市内の飲食店で元横綱日馬富士にカラオケのリモコンなどで複数回殴られ、頭部にけがを負った。のち、日馬富士は傷害罪で略式起訴され、18年1月に略式命令を受けて罰金50万円を納付した。
九州場所(17年11月)と初場所(18年1月)を全休した貴ノ岩は、3月11日からの春場所(大阪)で復帰するかどうかが注目を集めている。救済措置として、初場所時と同じ十両に据え置かれている。
今回の会見で貴ノ岩は、「まだ相撲をとっていない」「もう少し(時間が)かかる」と、明かし、元気に練習は再開したものの、本格的な復帰には至っていない現状を明かした。春場所に向けては、
「一生懸命やるってことだけ考えてやってます」
と、出場するかどうかの明言は避けた。記者から「横綱に被害を受けた頭部の...」と傷害事件に関する質問が出ると、貴乃花親方が「いや、その話は...」とさえぎり、「それじゃ、このへんで。ありがとうございました」と打ち切った。会見時間は2分強程度だった。
「顔見せの場でしかない」
会見があった日、「情報ライブ ミヤネ屋」(日本テレビ系)、「ひるおび!」(TBS系)、「直撃LIVE グッディ!」(フジテレビ系)など各局のワイドショーがその模様を取り上げた。
「ひるおび!」では、東京相撲記者クラブ会友の大隅潔氏が、番組側の「なぜこのタイミングでの会見だったのか」という質問に対し、「世論を鎮めるための顔見せの場でしかない」との見解を示した。また、弁護士の八代英輝氏は、貴ノ岩へのメディアスクラム状態を「一区切り」し、春場所へ向けた稽古に貴ノ岩を集中させてやってほしい、というメディア向けのアピールなのではないか、と指摘。そもそもの設定が「(傷害事件の)真相を語る会見じゃなかった」とし、一部コメンテーターらによる「貴乃花親方の質問さえぎり」批判に疑問を呈した。
また、貴ノ岩の春場所への出場の可能性については、番組や参加コメンテーターにより見解が分かれた。元力士の維新力浩司氏は「かなり仕上がっている。とれると思います」(グッディ)、大隅氏は「休場6、出場4で休場の可能性が高い」(ひるおび)、元力士の大至氏は「出場すると思う。休場で幕下に落ちるより、自分で負けて落ちた方が納得がいく」(ひるおび)などと分析していた。