「コワモテ」で記者会見に臨むことで知られてきた中国外務省の華春瑩副報道局長に「失脚」騒動が台湾メディアで持ち上がった。華氏が米国への移住を目的に蓄財し、国家転覆を企てていたとして身柄を拘束された、というのだ。
一見して荒唐無稽な内容だが、他の中国系メディアも次々に紹介。華氏が休暇で記者会見に1か月にわたって出なかったことが憶測を広げたようだ。
記事の最後に「未確認情報」の但し書き
華氏をめぐる噂はネット上で広がりつつあったが、決定的だったのが台湾大手紙の自由時報が2018年2月28日に掲載した記事だ。その内容は、大筋で(1)警察が華氏の自宅を捜索して現金500万ドルを押収した(2)華氏は米国への移住を準備していた(3)警察は国家転覆の容疑で華氏の身柄を拘束した、というもの。記事の最後に「このニュースは確認されていない」ともある。
自宅に現金があることと移住を準備していたかも真偽不明なうえ、それらがどのようにして国家転覆につながるのかも明らかではないなど、不可解な点が多い。しかも「未確認」と記している。それでもアップル・デイリーなどが次々にこの話を報道し、「失脚説」が広がった。ニューヨークの中国語ニュースサイト「多維新聞」は、「海外で『神隠し』の噂」の見出しで報じる中で、
「16年と17年にも同様の噂がネット上で広がったが、結局はデマだった」
と指摘し、ネット利用者の中には情報の信頼性に疑問を持っている人も多いと指摘した。