働き方改革の一環として「昼寝」を取り入れようという企業が増えている。
日々の仕事で疲れがたまっている。睡眠不足で仕事に集中できない。眠い...... とはいえ、日中のしかも仕事中にグーグー眠るわけにもいかない。そんな時にこそ、昼寝が有効ということらしい。
午後はスッキリ! 「GMOシエスタ」利用率8割
職場での昼下がりについ、うとうと...... そんな経験がある人は少なくないはず。冷水で顔を洗ったり、冷たいタオルで首を冷やしたり、コーヒーや紅茶、エナジードリンクを飲んだり、気分転換に外気にふれて深呼吸したり、軽く手足を伸ばしたりする。
できることはいろいろあるが、その一つが「昼寝」。眠気をガマンして仕事しても、能率が上がらないこともまた、多くの人が感じているはずだ。
じつは、厚生労働省も昼寝を推奨している。「健康づくりのための睡眠指針2014」によると、昼間の仮眠がその後の覚醒レベルをアップさせ、作業能率の改善を図ることに役立つ可能性があると指摘している。
ただし、必要以上に長く寝すぎると目覚めの悪さ(睡眠慣性)が生じるため、「30 分以内の仮眠が望ましい」ことを示している。
米国でも、眠気覚ましには「昼寝」が有効され、仕事のパフォーマンスを上げるための昼寝のことを「パワーナップ」という。すでにGoogleやNIKE、P&Gなどが導入。昼寝のチカラを取り入れている。
パワーナップは日本でも注目されており、GMOインターネット(東京都渋谷区)では、社内の一角に、社員であれば誰でも無料で利用できる昼寝部屋「GMOシエスタ」を用意。午後の仕事の効率アップを図っている。
同社がパワーナップを導入したのは2012年5月と早い。広報担当者によると、「じつは、その1年ほど前に仮眠のとれるベッドを入れたんです。最大30分の利用で予約制にしたのですが、常にいっぱいだったので拡張したのがきっかけ。現在は12時30分から13時30分の利用ですが、いつも8割は埋まっています」と話す。
利用した社員からは、「パソコンでの仕事が多いので、(仮眠が)生産性アップにつながっていることを実感しています」「毎日のことなので、生活のリズムになっています」といった声が寄せられている。
「しまった! 寝過ごした」がない「カフェインナップ」
厚労省の報告にもあるように、昼寝(パワーナップ)に適した時間は「30分以内」。おおよそ15~20分ほどがいいとされる。そのため、寝過ごしてしまうことを防ぎ、「ちょうどいいタイミングで目が覚めることができないものか」といった研究も進められてきた。
そんなパワーナップの進化系といえそうなのが「カフェインナップ」だ。
「カフェインナップ」とは、カフェインを摂取した後に15~20分ほど昼寝する習慣のことで、これにより昼寝後にスッキリ目覚めることができて、仕事や勉強などに集中できるという。
「昼寝+カフェイン」の効果については、広島大学の研究結果でも報告されていて、「仮眠+光」「仮眠+顔を洗う」といった組み合わせよりも、「カフェインと仮眠を組み合わせたほうが、眠気の予防効果が高いことがわかった」としている。つまり、「パワーナップ」にカフェインの覚醒作用を加えることで、相乗効果が見込めるというわけだ。
そんな「カフェインナップ」を、飲料メーカーのダイドードリンコが「働き方改革」の一環として推奨しはじめた。
同社では12時30分~12時45分に、オフィスを消灯。ヒーリングミュージックが流れて、社内は「お昼寝モード」に切り替わる。社員は、昼食後などにコーヒーを飲んでカフェインを摂取。デスクでじっと目をとじる。
自販機営業企画部の女性は、「以前は午後2時ぐらいになると、眠気が襲ってくることがありましたが、カフェインナップをすると、午後も集中して仕事ができるようになったと思います。実際は眠ることは少なく、目を瞑ってリラックスする程度のことが多いですが、頭がスッキリします」という。
また、人事総務部の男性も、「昼食後に、ブラックコーヒーを飲んでリラックスしていると、自然に15~20分程度の浅い眠りに入れます。ほどよい音量で聴こえてくるリラクゼーションミュージックも心地いいので、今ではカフェインナップがルーティン化しました」と話している。成果は上々といったところだ。
じつは、2018年3月5日に新発売するペットボトル・コーヒー「グッドワークブレンド」シリーズは「ひと息ついて味わう」、癒し効果を狙った商品。本格的なコーヒーの味わいと適度な甘みが摂れる。パッケージデザインも、デスクに置いてなじむよう工夫した。「日々の仕事の中で、カフェインナップを取り入れ、昼にコーヒーを習慣づけて飲むためのきっかけになれば」と、期待している。