平昌五輪カーリング女子で銅メダルを獲得したLS北見の地元・北海道北見市で、「ふるさと納税」の申し込みが急増している。
申し込みに当たっては納税金の使途を選択できるが、「スポーツ・文化の振興に関する事業」はあるものの、より直接「カーリング」を示すものはない。納税者の希望に沿った形で使われるのだろうか。
銅メダル獲得翌日には普段の30倍に
ふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」掲載の北見市のページではカーリングとLS北見をプッシュしており、返礼品としてチームのホームリンクでの60分カーリング体験や、おやつタイムで注目されたお菓子「赤いサイロ」をはじめ、地元の老舗お菓子屋「清月」の商品もラインアップされている。
申し込みは殺到している。2018年2月28日のJ-CASTニュースの取材に答えた北見市地域振興課の担当者によると、五輪前には1日10件程度だったのが、24日深夜の銅メダル獲得から激増。翌25日にはその30倍、約300件の申し込みがあったと話す。市への問い合わせで「カーリングを応援したい」という声もあるという。
申し込みフォームでは、納めるお金の使途として「ふるさと振興・まちづくりに関する事業」「子育て・地域福祉に関する事業」「スポーツ・文化の振興に関する事業」「その他」を選択できるが、特段「カーリング」の表記はない。応援したい思いを届けられるのか。
担当者は「カーリングにということでしたら、自由記述のメッセージ欄でその旨を記載いただければ、極力そのために使わせていただくようにしていきます」と話す。具体的には、各カーリングチームの合宿費用などに充てられる予定という。サイトの説明によれば、北見市は全国に先駆けて1980年にカーリング協会を設立し、選手を育成してきたメッカ。さまざまなチームから合宿地に選ばれることも多い。
リンクなどの設備費にあてる予定はないのか。担当者は、ここ数日で急激に増加しているということもあって、「具体的な他の活用方法は定まっていない」と明かす。
舛添要一さん「違和感を感じる」
問い合わせの急増から、一時的にカーリング関連の専用窓口を設けるなどの策はないかとも尋ねたが、現時点では考えていないという。ただ、より直接的にカーリングやLS北見への応援をしたい場合、地元のNPO法人「常呂カーリング倶楽部」への寄付の案内などをして対応している。
もう一つの注目は返礼品で選べる「赤いサイロ」だが、ふるさとチョイスを見ると品切れになっており、発送できるのは早くて9月。「2~3年前からふるさと納税の返礼品として扱っていました」というが、今回の急激な勢いに入荷が追い付かない。担当者は「残念ながら待つしかない状況です」とした上で、返礼品は海の幸をはじめ豊富に取り揃えており「適切な品の案内をさせていただいています」と話していた。
なお北見市へのふるさと納税の急増については、前東京都知事の舛添要一さんが27日にツイッターで「カー娘の出身地、北見市にふるさと納税の申し込みが殺到しているという。応援したい気持ちは分かるが、違和感を感じる。減収で予定していた事業をやめる自治体もある。増収したからといって、それで地方の活性化が進むわけではない。国土の均衡有る発展は国の仕事。この制度、見直すべきではないのか」と苦言を呈していた。これには
「確かに均衡を保った方がいいよな」
「制度の有無については確かに偏りはでるかもしれませんね」
と一定の理解を示す反応が出る一方で、
「応援したい自治体に、その人個人では少なからずだけど予算を回すのが『ふるさと納税』だと思います」
「単純に今回のオリンピック競技のカーリングで注目され、個人が何らかの形で気持ちを表したのが『ふるさと納税』の制度を利用したにすぎないのでは」
「たぶん、そこまで深い意味は無く単純な興味がある都市にふるさと納税しようと思っただけかと」
といった声も少なくなかった。