メダル最多獲得は「カネ」の力なのか―――麻生太郎財務相が語った、平昌五輪についての分析が議論となっている。
発端となったのは2018年2月27日に朝日新聞(ウェブ版)に掲載された麻生氏の会見記事で、「コーチにカネかけた結果」という発言を巡り、選手の努力を軽視しているのではないかという批判と、スポーツにおける指導者の質の重要性についての議論が、ネット上で巻き起こっているのだ。
見出し広まりツイッターで批判噴出
麻生氏はざっくりとした物言いでメディアに度々取り上げられ、批判を受けることも多い。27日の閣議後に開かれた記者会見の内容を取り上げた朝日新聞の記事によると、麻生氏は平昌五輪で過去最多の13枚のメダルを獲得した結果について、資金の選択と集中の重要性を語りつつ、
「どこにカネをかけているかと言ったら、コーチにカネをかけた。カーリングも外国人。コーチとか、そういうものの大事さっていうのをおよそ理解してないとダメです」
と発言したといい、その是非を巡って議論が起こっている。
この発言が広まると、ツイッターでは、
「なんとまあ、オリンピックと金メダルはカネで買いましたってことね。品のないこと」
「限りなく、感じ悪い。頑張った選手への敬意が感じられない」
「現場でがんばったのは選手だよ。コーチがいくら良くても、選手の努力がなかったらダメなんだよ」
と、この発言を選手の努力を軽視していると捉える声も多く、批判が寄せられている。
妥当だという反論も
一方で、そうした批判に対し、麻生氏の発言は妥当だという反論もある。
男子フィギュアの羽生結弦選手(コーチはブライアン・オーサー氏)を筆頭に、女子カーリングのLS北見(コーチはカナダのジェームス・リンド氏)、女子スピードスケート(コーチはオランダのヨハン・デビッド氏)と、今大会でめざましい成果を上げた選手の中には、外国人コーチの指導を受けている選手も多い。
たとえばデビット氏は、徹底した意識改革や科学的なトレーニング手法の導入などで、日本チーム躍進の立役者となり、その手腕は一般メディアでも注目を集めた。
そのため、
「ほんと、選手の才能を生かせるコーチって、上へ行くほど大事なんよねぇ」
「指導者は大事だよね。ここをケチって良い成績だけ求めるなんて有り得ないもんね」
「実に的を射た発言。選手の全力の頑張りを『結果』につなげるのがコーチの仕事。優秀な選手+コーチ+環境を整えるカネを準備する人間の鼎立が肝要なのだ」
「珍しく核心を突いた発言という印象。フィギュアもカーリングもスピードスケートも、強豪国のコーチの力を借りればちゃんと結果が出るってことが分かったのは、今大会の大きな収獲なのでは」
という指摘も相次いだ。米山隆一・新潟県知事もツイッターで、このように賛意を示す。
「おっしゃる通りです。国籍と無関係に、適切に遇した良い指導者から良い指導を受ける事は、多くの分野に共通する上達の秘訣で、その為には一定の選択と集中も必要です」