平昌五輪の金メダリストには500万円の報奨金が支給されるが、長野五輪スピードスケートを制覇した清水宏保氏は「足りないと思う」と持論を述べた。
清水氏は、プロ野球選手の年俸相場を引き合いに「同じ額でもオリンピアンとの感覚の差が表れるというのは、そもそも違うのではないか」と課題を指摘した。
「活動費に充てるのが実情です」
JOC(日本オリンピック委員会)からメダリストに支給される報奨金は、金で500万円、銀で200万円、銅で100万円。これとは別に報奨金を設定する競技団体もあり、たとえばJSF(日本スケート連盟=スピードスケート、フィギュアスケート、ショートトラックを統括)も金500万、銀200万、銅100万と定めている。スピードスケート2種目で金メダルを獲得した高木菜那選手は、JOCとJSFの報奨金で合計2000万円となり、所属企業からも別途支給される可能性もある。
このような報奨金だが、清水宏保氏は2018年2月28日放送の「ビビット」(TBS系)で、「すごくもらっているイメージがありますが、足りないと思います。道具代やトレーナー代などは自分たちで出しており、そうした活動費に充てるのが実情です」とアスリートの厳しい懐事情を明かす。
財源についても「みなさん税金から出されていると思われるかもしれませんが、実際は各連盟が捻出するお金です」として、実績にもとづく競技間の金額差を指摘。番組ではたとえば、スケート競技は実績があがっている一方、カーリングはこれまで国際大会での実績が乏しく、日本カーリング協会は財政的に報奨金を出すのが厳しいなどの理由で出せないと紹介。代わりというわけではないが、カーリング女子日本代表公式スポンサーのJA全農が五輪銅メダルのLS北見の選手たちに「米100俵」を与えると決めていた。
また、清水氏は報奨金の多寡を、「野球選手が年俸1000万だと『少ないな』となりますよね。6000万で『中間くらい』。オリンピアンとプロ野球選手とで、同じ額でもこんなに感覚の差が表れるというのは、そもそも違うのではないかと思っています」と引き合いに出した。野球のようなプロスポーツでなくても、25日の東京マラソンで16年ぶりに日本記録を更新した設楽悠太選手には、日本実業団陸上競技連合が1億円を授与した例もある。
元陸上十種競技日本王者でタレントの武井壮さんも五輪の報奨金について、26日放送の「バラいろダンディ」(TOKYO MX)で「世界一を取った選手としては、野球やサッカーなどプロを含めたスポーツ全体の相場から見るとすごく安いと思います。日本のレベルからして、スポーツに公的な予算がついていることも考えたら、この報奨金はめちゃくちゃ安いと思います」と意見を述べている。