フィギュアスケート男子の羽生結弦選手(23)が所属する全日空(ANA)は2018年2月27日、東京・東新橋の本社で報告会を開き、66年ぶりの五輪連覇を祝った。
羽生選手にとっては連覇だが、実はANAにとっては4年ぶりの「リベンジ」でもあった。所属選手の活躍は企業にとって大きなPRのチャンスだが、羽生選手が初めて金メダルを獲得した14年のソチ五輪では、あろうことか日本航空(JAL)のチャーター機で帰国。ANAとしての露出機会を減らしてしまう、苦い経験をしていた。
ソチからの帰国では「敵地」第2ターミナルに横断幕持って乗り込む
羽生選手とANAは13年7月から所属契約を結んだが、契約後初の五輪にあたるソチ五輪では、羽生選手を含む選手団はJALのチャーター機に乗って14年2月25日朝、成田空港に帰国。当然、JALが使用する第2ターミナルの出口からJALの制服を着た係員に先導され、報道陣のフラッシュを浴びた。
ただ、第1ターミナルを本拠地にするANAは、「敵地」とも言える第2ターミナルの税関前に「感動をありがとう」の文字が入ったANAロゴ入りの横断幕を持ってベストポジションを陣取り、羽生選手を出迎えた。その甲斐あったのか、一瞬だったが「敵地」にもかかわらず、ANAのロゴがテレビカメラに映り込んだ。ただ、この「場所取り」の経緯をめぐっては、両社の間でひと悶着あったようだ。
その点、平昌五輪ではANAは十分な露出に成功した。18年2月26日、選手団はANAのチャーター機で帰国。成田空港で羽生選手を含むメダリストがANAのロゴが入ったパネルの前で写真撮影に応じた。便名は「NH2020」で、東京五輪に向けた存在感もアピールした。
自分の日々の練習とANAの安全運航を重ね合わせる
2月27日ANA本社で行われた報告会では、羽生選手は自らの日々の練習と、ANAの日々の安全運航に向けた取り組みを重ね合わせながら
「成功することって1回挑戦したからできることじゃなくて、失敗があって裏付けがあって、当たり前のような成功をつかみ取ることが本当にどれだけ難しいかということを、ここに帰ってきて、すごく感じています。飛行機って、僕たち乗っているときは普通に離陸して、普通に着陸して...、それが本当に当たり前ですけど、そういった当たり前の成功の中には沢山、沢山の方々が、その当たり前のために働いて、その当たり前をすごくサポートしていて...。そういった当たり前のために、当たり前の成功のために尽力してくださっている方々がいる。そういう会社の人間のひとりとして、こうやって成功を持ってこれたのは、本当に喜ばしいこと」
などとあいさつ。約60人の社員から大きな拍手を浴びていた。