羽生結弦選手(23)が平昌五輪フィギュアスケートで金メダルを獲得して涙を流したのは、スペインのハビエル・フェルナンデス選手(26)の存在も関係していた。2018年2月27日に東京・有楽町での外国特派員協会で行われた記者会見で、羽生選手が自ら明かした。
2人はブライアン・オーサー・コーチに師事する同門で、練習拠点も同じカナダ。共に過ごした時間は6年に及ぶ。羽生選手は「彼がいなければ、僕はこの席にこのメダルを持ってくることができなかった」と特別な思いを語った。
「彼は優しい人です」
会見でスペインメディアの記者から「フェルナンデス選手との友情」について聞かれた時のこと。羽生選手は「実は彼が日本のメディアで僕のことを語っているのを知っています。自分自身もスペインのメディアの方にハビエル選手のことを聞かれるのを待っていました」と切り出した。念願だったようだ。
「彼は優しい人です。優しすぎて競技には向いていないんじゃないかと思うくらい。でも一緒に練習する時は、絶対に勝つと互いに思っています。彼がいたからこそ僕はカナダで練習する選択をしました」
平昌五輪で金メダルが決定した時、羽生選手の目には涙。この時フェルナンデス選手も、3度目の五輪出場で初のメダルとなる銅メダルを獲得している。羽生選手はこの時の心境を明かす。
「僕は金メダルを取った時に泣いてしまいましたが、泣いてしまうスイッチが入ったのは、彼のメダルが決定したからだというのもありました。彼はソチ五輪でメダルを取ることができませんでした。そのことをすごく悔しがっていたのを、すごくよく知っています。一緒に練習をしてきても五輪の時だけは無口になっていました。だから五輪のメダルへの思いの強さは伝わっていました。五輪のメダルは僕も誇らしかったし、すごく嬉しかったです」
今後について「これから一緒に試合ができるかわかりません。彼がスケートを続けるかわからないので」と話した羽生選手。五輪を終えた今の心境について、
「ただ、僕は6年間ともに練習してきて、彼と高め合いながら試合に出られて、本当に幸せでした。彼がいなければ、僕はこの席にこのメダルを持ってくることができなかったと思っています」
と語っていた。