「そだねー」。カーリング女子日本代表「LS北見」のメンバーは、平昌オリンピック銅メダル獲得を決めたイギリスとの3位決定戦でも、注目のあの言葉を連発していた。
流行語大賞に選ばれる可能性もあるのでは、との指摘も出るほど注目の高まった「そだねー」。「そうだねー」と同意する文脈で使われ、メディアで「北海道弁」「北海道なまり」との枕詞がつく一方、ツイッターでは北海道出身者だという人から「周りでも使っている人はいない」と戸惑いの声も。J-CASTニュースが、「LS北見」の本拠地、北海道北見市の関係者に話を聞いた。
「北海道弁って言われてびっくりだった」
2018年2月25日のメダル表彰式を終えた藤澤五月選手は報道陣に対し、「そだねー」が注目されていることについて、「みんなが北海道出身なので、なまっていることに気が付かなかった」と答えた。「カー娘の北海道弁『そだねー』、藤沢『なまり気づかなかった』」(スポーツニッポン、ネット版)など各メディアが報じた。藤澤選手も北海道・北見出身だ。
翌26日、ワイドショーの「とくダネ!」(フジテレビ系)では、カーリング女子の活躍ぶりを伝え、「そだねー」にも焦点を当てた。北海道東部の「道東」で使われる表現だと説明。競技解説で出演していた、長野オリンピック(1998年)のカーリング女子日本代表だった大澤明美さんも「北見出身」で、選手らと同じイントネーションで「そだねー」を使うと話していた。若い人と「30代後半以降」とでは、ややイントネーションが異なる、との指摘も紹介。パネルの文字と顔写真で、日本語学者の金田一秀穂・杏林大教授の「相手の言うことをちゃんと聞いてるよ、という合図」という解説内容も伝えた。
これまでもメディアで、「北海道弁」(スポニチ)、「北海道なまり」(産経ニュース)などと伝えられてきた「そだねー」だが、ツイッターを見ると、
「道民だけど『そだねー』って使わないし、周りでも使っている人はいないから、北海道弁って言われてびっくりだった」
「そだねーが北海道弁と言われることに違和感しかない元道民。方言じゃなくない?」
といった指摘も出ている。
「よく使ってます。世代、男女は問いません」
「そだねー」は、どの程度、地元で浸透している言葉なのか。J-CASTニュース編集部が2月26日、北海道の北見市観光協会(一般社団法人)に話を聞いた。観光振興課長の石井義和さんは、
「かわいいなーと思いながら聞いていました。言葉として違和感はないのですが、一方で、周囲で使っていることを耳にすることも、あまりないですね」
と話す。若い人、特に女性は、仲間同士の会話で使っているかもしれないとしつつ、「浜の方の言葉という印象もあります」とも。「浜の方」とは、「LS北見」の本拠地がある、北見市常呂町(合併前の旧常呂町エリア)方面のことで、市東部のオホーツク海に接する地区のことだ。
そこで今度は、常呂町観光協会事務局の中原一人さんに質問すると、
「『そだねー』は、よく使ってます。世代、男女は問いません」
との答えが返ってきた。藤澤選手が記者に返答した内容と同じように、「(方言だと)意識したことはなかった」そうだ。
もっとも、フランクな関係の際に使う言葉であり、仕事上のやりとりの時などには「そうですね」と使い分けているという。
石井さんも中原さんも、「北見」を世界中に発信してくれた、とカーリング女子日本代表の選手らに感謝を示し、観光への波及効果も期待していた。北見市常呂町エリアでは、サロマ湖観光や名物のホタテが有名だという。
藤澤選手の父、充昌さんはテレビ局の取材に応じており、記者の質問に「そうですね」と答えていた。親子で話すときには「そだねー」を使うのだろうか。