「シャープパワー」という世論操作
最近、欧米の政界や学界では、「シャープパワー」について語る人が少なくない。「中国とロシアは浅ましい手段で海外の世論を振り回している」と言うように、ある国が他の国や世界の世論を操作することを意味する。「ソフトパワー」が、表面的には理念を通して他の人々に訴えるものなのに対し、「シャープパワー」はデマや詐欺的な手口で人を騙すものだ。
ただ、「シャープパワー」という概念は実質的には新しいものではない。ジョセフ・ナイ教授は、「『シャープパワー』とは実のところ『ハードパワー』の一種であり、すでに冷戦時代には米国とロシアが活用し、狡猾な語り口で人の心を欺いてきたものだった」と指摘している。
現在、欧米で「中国とロシアが『シャープパワー』を用いている」と主張されるとき、強調されているのは、「中国とロシアは大ボラを吹いているが、我々が話していることは真実だ」というものであり、中国とロシアに対する「ソフトな封じ込め」の一部だ。
最近、欧米メディアは「中国はアフリカ連合の本部の建設を援助しているように見せかけて、実は密かに盗聴しようとしている」と伝えたが、事実を確認するすべはない。これを「シャープパワー」と言うかどうかは措くとしても、これに類する中国のイメージを傷つける「ソフトな封じ込め」は今後も増え続けるだろう。
(在北京ジャーナリスト 陳言)