「採点をし直せ!」「全員正解だろ!」ネット上でそんな声が2018年2月22日にネット上で大学入試センターに向けられた。
これはセンター試験の「地理B」で、アニメの人気キャラクター「ムーミン」の舞台はどこか、という問題が出て、正解はフィンランドとしたところ、出題ミスではないかという批判が出て大騒動に発展した。そうしたなか新聞各紙が、「ムーミンは一人一人の心の中にいる」と日本とフィンランドの外相が会談し「問題解決」を宣言した、と報じたからだ。
「ムーミンは一人一人の心の中にいる」
共同通信が21日に配信したのは、「ムーミン問題『決着』日フィンランド外相」という記事。河野太郎外相とフィンランドのソイニ外相が21日夜に東京都内で会談し、ムーミン問題について、ソイニ氏が、「ムーミンは一人一人の心の中にいる」と笑顔で語り「問題解決」を宣言、「『決着』で合意した」と書いている。
2018年1月13日に行われたセンター試験「地理B」の北欧3カ国に関する問題に、日本のアニメ「ムーミン」「小さなバイキングビッケ」が出て、ノルウェーとフィンランドの言語と、両アニメの舞台の正しい組み合わせを回答させた。センターはムーミンとフィンランド語の組み合わせを正解としたが、これに学者から「根拠は何か?」と異論が出ることとなり、「出題ミス?」と大騒動になった。
日本の「ムーミン公式サイト」では1月19日、22日のブログでこの問題を取り上げ、「ムーミンパパ海へいく」初版本には、パパの灯台の島の地図に北緯東経が記されており、「フィンランド湾」とある、と指摘した。フィンランド国内には作品のヒントとなったとされる場所がいくつも存在する。ただし、
「ムーミン谷は、自分がそうだと思えばそこがムーミン谷になるんだと思う」
とし、舞台はフィンランドだ、とは言及しなかった。
日本のスウェーデン大使館公式フェイスブックの記述も注目された。15年2月11日付けのもので、ムーミンがスウェーデン語で書かれているのは作者のトーベヤンソン(Tove Jansson)氏はフィンランド人だがトーベ氏とその家族はスウェーデン語を母国語とする人たちだからだ。トーベ氏はスウェーデンで美術を学んでいた時に「ムーミン」の名前のヒントを得た。さらに、
「そして、ムーミン谷のモデルになったは、ヤンソン一家が夏の日々を過ごしたスウェーデン群島にあるブリード島(Blidö)です」(原文ママ)
と書いている。
こうしたことからムーミンの舞台はどこなのかの論争が過熱し、センター試験のあの問題は正しかったのか、と、さらにヒートアップした。
「肝心のスウェーデンほったらかしで合意とか意味ねえ」
センターはメディアに対しこの問題に対する見解を公表。日本で刊行された書籍に「『フィンランドにあるムーミン谷』との原作者のコメントとしての記述が見られる」。そして、アニメのキャラクターの使用はしたが、教科書に書かれている言語区分の知識があればアニメを知らなかったとしても正解を導けるように作られた問題である、とし、
「地理Bの知識・思考力を問う問題としては支障がなかった」
と主張した。
そうした中で今回の外相会談の、
「ムーミンは一人一人の心の中にいる」
という「問題決着宣言」の記事である。
ネット上では、「外交で決着つけるようなことか?」などといった疑問の声が上がる中、
「えっ、じゃあ回答なしの全員正解で、採点やり直しだろ。となると、合否もひっくり返るぞw」
「何も解決してねぇよw ムーミンが問題なわけねぇじゃん。問題が問題なんだから」
「ムーミンの出身地知ってたら正解が無いって糞問題。知らなかったら消去法で答えられるって、問題としておかしいだろ」
などといった書き込みが掲示板に出た。また、
「肝心のスウェーデンほったらかしでフィンランドと合意とか、意味ねーだろ」
という意見もあった。
J-CASTニュースは22日、センターに対し今回の外相会談で「ムーミン問題が決着」と各新聞が書いているが、これにより何かアクションをするのか、と質問したところ、
「これまでの見解に変わりはありません」
ということだった。