「こういう工夫ができるのも、高木美帆選手が非常に好調だから」
世界新連発のもう1つの大きな要因は、「先頭交代」の技術。先述のように各選手1周は先頭を滑らなければならないためレース中に交代する。
「多くのチームで、先頭の選手はスピードを落として隊列のすぐ側から後ろへ行きます。落としたスピードをまたあげないといけませんが、上げ下げは負担になります。歩行や走りでもスピードの上下があると体力が奪われるのと一緒です」
ところが日本チームは異なる。先頭の選手が隊列から3メートルも離れて下がっていく。
「距離的には遠回りですが、先頭から後ろにいった選手はスピードを落としていません」
加えて、中長距離のエース・高木美帆選手をフル稼働。空気抵抗で最も負荷がかかる先頭の周回数を、オランダ大会の「1.75+1.25=3周」から、ソルトレークシティ大会では「1.75+1.75=3.5周」に伸ばした。両レースでは4.9秒タイムが縮まった。
「こういう工夫ができるのも、高木美帆選手が非常に好調だから。先頭でわずかでも詰めていくことで全体のタイムがあがっていきます」
高木美帆選手は平昌五輪で1500メートル銀メダル、1000メートル銅メダルを獲得。今大会最後の出場種目となるパシュートで、もう1色のメダル獲得なるか。準決勝などは21日夜から始まる。